GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

2005年総選挙時における日本の政治について⑦ 外交の心理戦

郵政民営化マニフェスト比較・小さな政府あたりについてまだまだ書きたいが、今日はちょっと趣向を変えます。

 

 

外交の心理戦

各党のマニフェストが出そろったが、マニフェストを読み込もうが読み込むまいが、全体的には、「外交は自民党、内政は民主党のほうが基本的にはまともなことをやってくれそうなのかな?」と思う人の割合が多いのではないかと個人的には勝手に思っている。

まあ、今回に限っては「内政も自民党に期待する」という人の割合が増えていそうだが…。

 

ところで、私は、今現在の日本において、外交と内政では内政のほうが断然重要であると思っている。

私個人としては、極端な話、「高齢少子化が進む中、国の財政が立ち直り、年金や医療において妥当な改革がなされるのであれば、北方領土も二島で十分だし、竹島尖閣諸島もいらないんじゃないかい?」というぐらいに思っている。

そういうこともあって、これまでは、基本的には民主党に投票し続けていた。

そして、今回は初めてどっちに入れるか悩んでます…。

 

話は変わるが、人間とはクレイジーな生き物だとはつとに思う。

そんなことは人間の歴史をひもとけば一発でわかるが、今の世の中にもそういった事例を簡単に見つけることができる。

世界には、世界のために多額のコストを払っている民主主義国のアメリカより、時には平気で非人道的な行為に走る独裁国家の中国のほうが好きだという人が多かったりするらしいし、韓国人にいたってはアメリカと北朝鮮が戦争したら北朝鮮を応援する人も多いのだという…。

「非民主主義政権が人道的か」という根本の命題を忘れ、情緒論に走る人間が多いというこれらの事例は、人間とはクレイジーな生き物であるというのに十分な事例であるといえるであろう。

 

とはいえ、アメリカにおいても進化論を教えるかどうかが真面目に議論となったり、大統領が演説で「神」という言葉を連発するようなことが平気でまかりとおるのだから、「人間って歴史を振り返るまでもなく、本質的に非科学的・非合理的な生き物なのね…」と思わずにはいられない。

 

これだから外交は難しいのである…。

 

外交戦争というのは常に民主主義国のほうが不利だと言われる。

それは、手の内がバレバレになってしまうからだ。

特に日本には獅子身中の虫というか、足を引っ張るのが大好きな朝新聞などのマスコミがいるし…。

北朝鮮の強いところは手の内が不気味なまでにわからないことと国民のことを考えなくて良い点にある。

 

また、外交というのは言うまでもなく心理戦でもある。

ある目的を達成するために、思い切ってカードを切らなければならない時があるのだが、日本は意外にその辺が強情で、なかなかバーター交換的なカードを切ることができない国であるように思う。

 

例えば、日本が本気で常任理事国になるつもりであったのであれば、「弱腰」だとかそういうことを言うのが大好きな連中に何を言われようと、中国とケンカの種になる靖国や教科書といったことで問題を起こすべきではなかったと思う。

何かを得ようとすれば何かを犠牲にするというのは駆け引きの常道であるが、意外に日本はそういうことが苦手なのだろう。

 

近年は小泉首相靖国参拝を続けている間に、中国・韓国との関係が一気に冷え込んでしまったが、そのことによって東南アジア各国も中国の意向を気にしてどの国も日本が常任理事国になることに対して賛成にまわらないような孤立した状況に追い込まれているから日本人としては辛い気持ちになる。

恩を仇で返すような東南アジア各国に対しては、「常任理事国に賛成しないのならODAは全額凍結する!」というぐらいのカードを切って欲しいところなのだが、日本という国の外務省はいつの時も人が良すぎてそこまでやらない。

 

六ヵ国協議で北朝鮮と核の話題だけをするのであれば、世論や座りこみ集会などといった議会手続きを踏まない大衆運動的な行動に左右されず、拉致問題については話題として取り上げなくても良かったのかもしれない。

もちろん、私は心の底から拉致問題の解決を願っているが、核問題とは全く関係のないネタを持ち込む日本に対して他国が賛同しないのはやむを得ないと思うからである。

交渉をするのなら、六ヵ国協議の場ではなく、二国間で経済封鎖をするか、アメリカと手を組んで高圧的に対応するなどといった手を使えば良いだけの話なのだ。

 

しかし、小泉政権ほど一貫して日米同盟を外交の基軸にすえて行動した政権も珍しい。

日本の日米同盟重視や韓国の失策によって日米関係はより緊密なものとなった。

ただ、日本は安全保障についてはアメリカとやっていくという強固な意志のもと、何を言われようとアメリカとのパートナーシップを重視してきた。

このように一貫した姿勢を通すことはどっちつかずの手を取ることより確実に果実を手にする可能性が高いと思う。

 

アメリカとの外交と中国との外交

しかし、外交は心理学である。

素人でも玄人でも手を打ってしまった後の先の展開は読みづらい。

このことについてアメリカとの外交と中国との外交の側面からちょっと考えてみたい。

 

アメリカ外交

まず、アメリカから…。

 

仮に、日本で民主党が政権をとって、イラクから撤退するようなことがあれば、アメリカは日本に対して、「思い通りにならないから圧力を強めようか?」と思うか、「クソ!もう日本の安全保障なんて知らねえぞ!」と思うか、「もっと日本のことを大事にしなくてはならないのかな?」と思うかは私にはわからない。

 

まるで、男女間の駆け引きのようではある。

とはいえ、私個人としては、日本はアメリカとのパートナーシップを他より優先すべきだと思っている。

何故なら、アメリカは単独で世界の半分以上の軍事力と圧倒的なプレゼンスを有しているからである。

また、いくらアメリカが東アジアで孤立しようとも、アメリカには世界最大の軍事同盟であるNATOがあるため、どんなにがんばっても日米同盟だけしか軍事同盟のない日本のほうが圧倒的に弱い立場にあると思うからである。

もちろん、中国との衝突を恐れずに日本が国防軍を創設するのであればそれはそれで一つの安全保障のあり方であり、発言力の強化の仕方だとも思う。

しかし、日本国内においてそういった攘夷論的な総意を形成することができるとはおもえないし、そうするとコストは膨大にかかる。

 

また、日本はアメリカの共和党政権に肩入れしているが、アメリカの民主党政権ができた時にどうなっていくかについて考えるとこれまた難しい。

クリントン政権時のように、アメリカが日本ではなく中国との関係を深めるようになったらそれはそれで難しい舵取りをせまられるのだろうと思う。

 

対中国外交

次は、中国について…。

 

日本の対中貿易額は対米貿易額を上回った。

確かに、日本のほうが内需に依存する割合が高く、貿易体制の不安定化によって受けるダメージは中国のほうが大きいといえなくもないが、向こうは非民主主義国家だという圧倒的な強みを持っているから、いざとなればケンカを打ってくるのは間違いなく中国のほうである。

なので、いくら「政冷経熱」とはいえ、これ以上対中関係を悪化させることは避けなければならないだろう。

 

近年は中国とアメリカの経済摩擦のおかげで日本が責められることなく助かっているが、あの中には中国で製造した日本メーカーがアメリカに輸出している部分が相当な分あるというのだから、実は日本はかなり得をしていることになる。

また、日本メーカーは中国人に技術を盗まれまいと血のにじむような努力を払い続けていて、なかなか狡猾でもある。

それでいて、中国で上げた経常利益は日本の会社の財務状況をだんだんと良くしているのだから中国さまさまなのである。

だから、日本としては中国との摩擦をこれ以上強めたくないところだろうと思う。

 

しかし、「日本の首相が靖国神社への参拝を続け、教科書問題で譲らなかった場合」と、「日本の首相が靖国神社への参拝をやめ、謝罪外交をしまくって、領土問題も譲歩的な解決で片づけた場合」とでは長期的にどう違うのかについて考えてみると、これまたどちらが良いのか私にはわからない。

 

仮に、首相が靖国神社に参拝してもしなくても中国や韓国の日本に対する恫喝的な姿勢が変わらないと確実に判断できるのであれば参拝を継続するべきであろうし、確実に関係を改善して平和的な関係を構築することができるのであれば、軟化した姿勢をみせるのも一つの手なのではないかと思う。

 

とはいえ、今の世に生きている人のほとんどが戦後生まれなのにここまでしつこいと譲歩しても得られる果実が少なそうで、なかなか譲歩する気にはなりませんわな~。

 

また、先ほど述べたアメリカの民主党の話ではないが、日中間には台湾問題という問題があって、日本は台湾と仲良くすべき関係なのになかなか難しいし、台湾にも民進党と国民党があるからなおさら外交は難しいわなぁ…。

  

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