ビッグカードばかりがそろっていたこともあるが、本当にレベルが高くてすばらしい興行であった。
新田さんも敗れはしたが、かなりの健闘したというか、本当にすばらしい試合であった。
ちなみに、左の写真はメインイベントで武田選手をKOで破ったジョン・ウェイン・パー選手に一緒にツーショットに収まってもらった写真です。
石井宏樹選手がムエタイ2大タイトルの一つであるラジャダムナンスタジアム認定・ライト級タイトルマッチに挑んだが、惜しくも判定で破れ、藤原敏男氏以来のライト級王座の戴冠とはいかなかった。
っていうか、どうみても私的には石井選手の圧勝だったので惜しいとかそういうものではなかったのだが…。
ムエタイにおけるライト級というのはウェルター級やミドル級とは違い、おそろしく層が厚い階級なので、このタイトルを獲れれば日本キックボクシング界においてこの上なくすごい金字塔を打ち立てられるところだっただけに何とも残念である。
ちなみに、過去に何度も書いているが、石井宏樹選手は私個人的には日本のあらゆるキックボクサーで最も完成度の高いと思っている選手である。
さて、以下に各試合の感想を書きます。
千葉歌織 VS 奥有紀子
千葉選手が 3-0で判定勝ち。
あまりに一方的な試合であった…。
新日本キック・ライト級2位 マサル VS 新日本キック・ウェルター級3位 朴龍
ドロー。
良い試合だったが決め手がなくドロー。
どちらかといえば朴選手のほうが印象が良かったか?
新日本キック・ウェルター級6位 中川タカシ VS 新日本キック・ライト級1位 高修満
高選手が 3-0で判定勝ち。
江古田のジムでたまにマススパーリングをやらせてもらっていてホームページなどもしょっちゅう見させていただいている中川選手を応援していたが、高選手のほうが有効打が多かったので仕方ない…。
直前にエキシビジョンに変更。
したがってコメントなし。
ただ、電撃ネットワークの南部氏がセコンドについていた。
ポール・スワロンスキー VS クァク・ユンソブ
スワロンスキー選手の2RKO勝ち。
体格差がありすぎたし、スワロンスキー選手の動きも良かったのでユンソブ選手はちょっとかわいそうですらあった。
新日本キック・ヘビー級1位 内田ノボル VS ネイサン・コーベット(ニュージーランド)
内田選手の反則勝ち。
開始早々、内田選手が倒れたところにコーベット選手が頭に思いっきり蹴りを入れたため、コーベット選手が反則負けとなった。
あんまりである。
非常に後味の悪い試合だったが、とても戦える状況ではないのに戦いたがっていた内田選手の根性は立派すぎる。
新日本キック・バンタム級タイトルマッチ 同級王者 加村健一 VS 同級2位 蘇我英樹
蘇我選手が2-0で判定勝ち。
加村選手のディフェンス力は超一流でひらりひらりとほとんどの攻撃をかわすのだが、かわすだけで手数が少なすぎた感があった。
軸足払いとか芸術的だったのにな~。
ジャッジ陣の多くは私の先輩ばかりなのでジャッジについてとやかくは言わないが、私としてはドローで良かったんじゃないかと個人的感情としては思う。
この前のMAXで「佐藤嘉洋選手の勝ちだろう…」「ジョン・ウェイン・パー選手の勝ちだろう…」と思ってしまったあたりから私の判定基準は普通と完全にズレてきているのかもしれない…。
最近は、KO云々より、ディフェンスはどうかだとか美しいかだとか上手いかとかばかりを見ちゃうんだよなぁ…。
しかし、余力を残しまくっての王座陥落は加村選手にとってさぞかし無念であろう。
新日本キック・フェザー級王者 菊地剛介 VS WMTAサウスパシフィック王者 クリス・ホワイト(オーストラリア)
菊地選手が 3-0で判定勝ち。
菊地選手とは、彼が伊原ジムに寝泊りしていたころしょっちゅう話をした仲だったが、今となっては雲の上の人である…。
この人のすごいところはたくさんあるが、左ローキックが上手いところが特にすばらしい。
内容的には圧勝といって良い内容であった。
ラジャダムナン・ミドル級王者 ラムソンクラーム・スワンアハーンジャーヴィー(タイ) VS 後藤龍治
ドロー。
判定はドローだが、内容的にはラムソンクラーム選手のワンサイドだった気がする。
ただ、ラムソンクラーム選手は流しすぎたため、前に出続けた後藤選手の印象が良かったのだろう。
ラジャダムナン・ウェルター級王者 シン・ノッパデッソーン(タイ) VS 新田明臣
ノッパデッソーン選手が 3-0で判定勝ち。
試合前は風邪で苦しんだ新田さんだったが、磐石の現役ムエタイ王者相手に本当にすばらしい試合をやってのけてくれた。
熱い試合内容に会場の盛り上がりも半端ではなかった。
まあ、内容的にはノッパデッソーン選手のほうがパンチ・キックともに有効打が多かったので仕方ない。
勝ったノッパデッソーン選手はこの日のMVPを獲得していた。
ガオグライ・ゲーンノラシン(タイ) VS 中迫剛
ガオグライ選手が3-0で判定勝ち。
的確に相手の攻撃をかわし続けながらもどこかに見せ場を作ってくるだろうから、きちんと見とかねば…と思って見ていたが、「やはりやってくれた」というか、右ストレート一閃で中迫選手から強烈なダウンをとった。
カウント9でやっと起き上がった中迫選手ではあったが、文句なしでガオグライ選手の圧勝だった。
ラジャダムナンスタジアム認定・ライト級タイトルマッチ 同級王者 ジャルンチャイ・ジョー・ラチャダーゴン(タイ) VS 新日本キック・ライト級王者 石井宏樹
ジャルンチャイ選手が3-0で判定勝ち。
あの内容だっただけにあまりに無念な結果だった。
結果だけを見た人には「あ~あ石井選手の負けか…」と思っただろうが、実は、K-1やキックボクシングの判定なら間違いなく50-45か50-46で石井選手の勝ちになるようなワンサイドな内容であった。
石井選手は全く無傷なのに、石井選手のパンチはおもしろいようにヒットしていたし、ローキックでダウンをとる寸前にまで追い込んでいた。
しかし、パンチやローキックがほとんど判定の基準とならず、ミドルキックと首相撲が大きな判定基準となり、ミドルキックを足で受けずに手で受けたり、こけたりすることが激しく減点の対象となるムエタイルールというのはあまりに日本人選手にとって無情なルールとなってしまう。
転倒とダウンは同じぐらい減点の対象となるらしい…。
要はK-1判定の真逆ということですな…。
全般的にパンチとローキックが得意な日本人選手がムエタイ2大タイトルを獲るためにはKOで勝つしか道がないとはいえ、ここまで圧勝しても判定負けにされてしまうのだからあまりに無情である。
パンチ・ヒジ・ローキックで石井選手、すごいことに首相撲はほぼ互角で、ミドルキックの本数でチャンピオンといった感じであった。
チャンピオンのパンチは全く石井選手に入っていなかったし、ミドルキックのクリーンヒットもほとんどなかった。
しかし、石井選手は相手の左ミドルキックを左足でカットできない時にたびたび手で受けてしまうことがあったのだがその辺の印象点がもろに判定にひびいたのだろう。
本来は右足でカットするのがセオリーなのだが、日本人は全般的に左ミドルキックを右足でカットするのが苦手である。
また、石井選手は普通の選手よりは全然バランスをくずさなかったものの、試合全体で2回ほどこけてしまったのだが、チャンピオンは1回もこけなかったような気がしたのだが、その辺もポイントに影響したと思われる。
あと、石井選手はあまりに天才的なオールラウンダーだが、オールラウンダーはすべての攻撃を出すため一つの攻撃を執拗に出し続ける武田選手のようなタイプと違ってKO率はどうしても下がってしまうという皮肉な弱点があるのだが、この試合でももう少しローキックに固執していたらもしかするとKOできたかもしれないなあとは思った。
WKBA70kg級王者決定戦 武田幸三 VS ジョン・ウェイン・パー(オーストラリア)
ウェイン選手の3RKO勝ち。
1・2Rともに特にパンチの手数でウェイン選手が有利な展開だったが、3Rには武田選手が蹴り続けていたローキックが明らかに効いてきて「これはいけるぞ…」と思った時にウェイン選手の右フックが一閃。
武田選手は10カウントで起き上がることができなかった。
勝っても負けても武田選手の試合はスリリングだから観客を沸かせる。
それにしてもやはりウェイン選手は強い!
それに、写真のツーショットにも快く応じてくれた。
実は、2年前に新田さんが私のことをウェイン選手に紹介してくれたこともあったのだが…。
見てくださいよ…ウェイン選手のこのステキな笑顔。
本当にいい人だぁ~!