GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

票が欲しい政治家のせいで空費される時間

私は、基本的に、政治家は自分の私利私欲のために政治家になっているとは全く思っていない人間である。

 

お金が欲しいなら政治家になること以外の方法で得ることのほうが簡単だろうし、国会議員・首長レベル以上の政治家という職業には大変な激務とストレス耐性が求められると思うからである。

しかし、政治家が政治家になったきっかけは高い志があってだったのかもしれないが、いったんなってしまった後というのは、自分が当選するために多少のモラルハザードを犯しても平気な人種になってしまうこともあるようである。

今回の郵政民営化の件では政治家の醜さが表に出まくったと思う…。

ところで、郵政民営化に対する基本的な私の考えは前に延々と述べたとおりであるが、その要点は以下のとおりである。

  • 郵政事業のガンは、財政投融資の原資となる郵貯事業および簡易保険事業にあり、これらに資金が流れないようにすることは良いことである

  • しかし、郵貯事業というのはお金を集めることしかノウハウを持っておらず、銀行が本来最も力を割くべき融資営業能力がほぼ皆無であるから、ハッキリ言って民営化しても何らかの保護がない限りまともにやっていけるわけがなく、したがって、この2事業は民営化などをするのではなく返金&廃止したほうが良いぐらいである。

  • それに比べれば世間をにぎわせている郵便事業の問題なんてのは些細な問題である。

  • これも前に述べたが、前島密の時代から続く特定郵便局制度は、現代に残された唯一といって良い実質的な世襲貴族制度であり非民主国家的な制度であるから、これは即刻廃止すべきである。

なので、郵政3事業の民営化自体に対しては、分社化が甘いこと、特定郵便局を温存させる仕組みが残っていることなど、個人的には理解しがたい部分が数多くあるのだが、それでも道路公団の件同様、現行制度を存続させるよりはまだましだと思っている。

ところで、今回、反対票を投じた議員は「政治家としての信念に基づいて反対をした」「首相の手法に嫌気が差した」などと偉そうなことをのたまっているが、こんなものはなんのことはない。

この人たちが言っていることに耳を傾ける限り、この人たちがこの法案に反対する理由というのは、郵便局関係者の票、特に特定郵便局の票が欲しいだけだとしか絶対に思えないからである。

少なくとも、この人たちの中に私が上記で言っているようなことを中央突破的に言っている人は誰もいない。

 

私は今回造反した議員の名前をできるだけ覚えておきたいと思う。

それにしても、「今回の件で仮に解散になっても、民主党もこの法案に反対に回っているため、この件で対立する民主党候補から叩かれる心配はないということ」と「国民が郵政民営化問題にあまり関心がない」というのをいいことに、「郵便局関連の票がなかったら困る」ということを狡猾に計算しこういった行動に出る議員はまさに私利私欲のために動いていると言って良いだろう。

反対・棄権した面々の中で、将来が有望と思われる議員としては、平沼赳夫氏や高村正彦氏や野田毅氏や特定郵便局夫人の会で怪気炎を発していた野田聖子氏といった議員がいたのだが、覚えておきたい。

それにしても、私は、亀井静香氏と古賀誠氏あたりの政治家とは、これまで一つとて考え方が一致したことはないけど、ああいった政治家がのさばってられるから「この国もどうかしてる…」と思ってしまう。

 

ところで、財政投融資というシステムがある以上、郵政事業の問題も決して小さな問題ではないが、年金をはじめとする社会保障改革と国の赤字を何とかして国の破綻を防ぐことなどのほうが余程重要な問題であることは言うまでもない。

なのに、小泉首相は郵政事業の問題にばかり固執しすぎてはいる。

しかし、この問題はかなり昔からの小泉氏の持論だったし、ライフワークだったからこの問題にこだわってしまうのはしょうがないだろう…。

大切なのはこんな問題はとっとと片づけてしまって次の重要な懸案に本気で取り組んでいくことであろう。

 

そういえば、こういったことに時間をとられている間に日本がボロボロになった経験は少し前にもあったなあ…。

それは、宮澤政権から数年間というのは本来なら不良債権など別の問題に本腰を入れるべきだったのに政治改革=小選挙区制の導入なるものに時間を費やしすぎてしまった件である。

結局、「政治改革に時間を費やしすぎたうえ、橋本氏が早すぎる消費税を上げて景気を冷え込ませる」→「小渕氏の放漫財政」→「森氏は何をした?」→「小泉氏・竹中氏の荒療治」…という流れで、各界からものすごい批判を受けながらも、りそな銀行の件でモラルハザードを犯しながらも、これらの問題に真正面から取り組んだのは小泉氏と竹中氏だったわけであるが、そうなるまで時間を空費しすぎてしまい、日本景気が冷え込んだのには「人災」的な面があったということは否めなさすぎるであろう。

 

ところで、政治改革自体は郵政民営化道路公団民営化と同様に「しないよりはしたほうが断然マシ」という政策だったので個人的には政治改革を進めようとする細川氏をはじめとする連立政権側を応援していた。

そして、この時にやったことが二大政党化や派閥の凋落を生み出すに至っているわけで、国民は忘れているようだが、効果はジワジワと出てきているわけである。

 

このままだとそう遠くないうちに民主党が一度は政権をとるであろうと予想できるので、そうなれば「政権交代が可能な選挙制度の確立」という政治改革の真の目的が達成されることになるわけである。

自民支持とか民主支持とかではなく、政権交代が可能なことが大切なのである…。

 

ところで、この政治改革に時間を空費したのは、それを導入しようとする側のせいではなく、自らの選挙区事情のことばかりにしか目が行かずに徹底的に足を引っ張る守旧派議員と一部のマスコミだったと思うのだが、今回の郵政民営化の件も全く同じである。

我々は選挙権を持っているのだから、こういった政治家に票を入れず、そうでない方に加担することでお灸をすえるしかないだろうと強く思う。

 

これは余談だが、私が大都市に住んでいるからかもしれないけど、ヤマト運輸の人の顔はしっかりと覚えているのに、郵便書留や小包を届けてくれる郵便局員の顔なんぞ知りもしないなあ…。

ヤマトの人のほうが数倍丁寧だし…。