GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

K-1 WORLD GP 2005 in SEOULを観ての感想

今日のK-1はどうなるか全く予想できない要素が多かったのだが、大体思ったような結果になった。

とはいえ、内容はとんでもなく茶番に近い内容だった。

 

優勝したチェ・ホンマン選手個人は一生懸命やったし、なかなかの好青年なので、素直に「優勝おめでとう」と言いたいところなのだが、その内容はかなり興ざめなものだった。

 

まず、1回戦の若翔洋は論外っていうぐらいに弱かったし、2回戦の曙は速攻のタオル投入棄権だったし、どちらにせよ曙が負けていたと思うが、この2試合は、「一体何の競技だ?」って言いたくなるようなカードだった。

 

勝戦では、チェ選手が218cm・162kg、ガオグライ・ゲーンノラシン選手が180cm・80kgと、異常なまでの体格があったため、ほとんど接点がなく、まともな試合になっていなかった。

なので、「そんなんで優勝かいな?」と思ってしまったというわけである。

 

勝戦において、チェ選手は突っ立っているだけでほとんど何もしていなかったようなものなのだが、当然ながら、ガオグライ選手の攻撃もほとんど効いていなかったので、特に判定のつけようもなく延長に突入した。

延長も似たような展開で終わった。

どちらに判定をつけるかと聞かれれば、「ガオグライだろう!」と私は思ったのだが、ジャッジはガオグライ選手に厳しかったのか、ソウル大会ということでチェ選手に甘かったのかどうかわからないが、チェ選手の優勝という結果…。

「何もせずに優勝かいな?」って感じでかなりあきれ返ってしまった…。

 

でも、ガオグライ選手はできる限りのベストを尽くしたと思う。

そもそも、異常な体重差で試合をした場合、たとえ偶然にせよ大きなほうの選手の攻撃が小さなほうにクリーンヒットしてしまったときに大事故が起きかねない…と格闘技経験者はずっと言い続けている。

それでもあのリングに上がるガオグライ選手の勇気には、本当に脱帽である。

 

なお、あのような体格差があればあのような戦い方をしないと危険であり、真っ向から打ち合ったらそれこそ事故が起こりかねないのだが、ああいう戦い方をすることに対してレフェリーがイエローカードを出すということは、「おまえ玉砕して、大怪我しろ!」と言っているのに等しいわけで、その見識を疑ってしまう。

 

相手の攻撃のほとんどを見切って、威力はないかもしれないがチョコチョコと有効打を当てたガオグライ選手に対してポイントを与えないとしたらガオグライ選手は一体どうやって勝てば良かったというのだろう?

どうやろうにも勝ちようがないカードならば、はじめからエントリーするべきじゃなかったんじゃないか?とすら思ってしまう…。

 

試合後、本人も、「とても大きな選手で、技の仕掛けようがなかった。私のキックは当たりましたが、大きな効果は得られていないようでした。また、僕も有効打は受けていません。判定結果については惜しいと思っています」と語っていたが、さぞ困惑したことだろう。

 

あと、これは立ち技格闘技経験者としての実感だがちょっと述べさせてもらう。

一般に、異常に体重差がある選手同士の試合の場合、軽いほうの選手の攻撃はハイキック以外ほとんど効かないため、軽いほうの選手はハイキックに活路を見出すしかない。

なお、ガオグライ選手はそうやって185cm・127kgのマイティー・モー選手を倒した。

ハイキックは、他の攻撃と比べ桁違いに大きなダメージを与えることができるので、ハイキックならば軽い選手でも重い選手を倒すことができるのだ。

なお、体重が重すぎる相手に対してローキックを出した場合、実は、蹴った軽い選手が蹴り足を痛める可能性のほうが高い。

 

また、相手の身長が高すぎる場合は、ものすごく懐が深い相手にパンチを当てるのは至難の業だし、ハイキックは届かないか届いてもダメージを与えられないので、ローキックかミドルキックを効かすことで活路を見出すしかない。

身長が高くてもそれほど体重差がない場合はローキックが効くからどうにかなる。

 

しかし、チェ選手のように身長も体重も大幅に上回った選手が相手だと何もやることがなくなってしまうのだ。

先ほどのガオグライ選手のコメントにもそういった困惑がにじみ出ている。

 

なお、43歳での挑戦ということばかりがクローズアップされたが、角田信朗選手の場合、174cm・94kgで、身長が低すぎることが最大の劣勢ポイントである。

これも、さっきと同じ理屈で、角田選手は曙選手に勝つ手がなかったといえよう。

しかし、曙選手にはローキックが有効だからどうかな?と思ったのだが、変にパンチで勝負しちゃってるし…。

でも、準決勝で曙選手がすぐに棄権したことを考えるとやはりローキックは効いていたのだ…。

 

なお、準決勝でガオグライ選手に敗れた堀啓選手は将来を渇望される選手だが、あそこまでグラスジョーでは残念ながら将来は見込めないだろう。

パンチの中では一番破壊力のある右フックでのダウンとはいえ、ガオグライ選手のパンチでダウンをしちゃーいかんだろうと思う。

また、1回戦も相手のちょっとした打撃でぐらついていたようだし…。

 

とはいえ、残念ながら、アゴの打たれ強さは生まれつきのものに左右される部分が大きく、あまり伸ばしようがない…。

あの面長で細いアゴではちょっとキツイかな?って感じなのだ。

なお、一般的にエラが張っていてホームベース型のアゴをしていると打たれ強いのだが、韓国人は多くの選手がそうだからかなり打たれ強い。

 

あと、この大会と普段の日本での大会の様子を比べてみて、日本人と韓国人の観戦客におもしろいコントラストを3つほど見いだすことができた。

1つ目は、韓国人と対戦する日本人選手に対して異常なまでのブーイングをあびせる韓国人観戦客に対して、韓国人選手のことを特に意識しない日本人観戦客。

2つ目は、「結果が良ければ過程はどうでも良い」と言いたいのか、つまらない試合内容でチェ選手が優勝しても、バカみたいに喜んでいる韓国人観戦客と、K-1決勝における武蔵選手対レミーボンヤスキー選手の試合で、武蔵選手びいきの延長判定が起きた際に大ブーイングを浴びせる日本人観戦客。

3つ目は、感情むき出しにして韓国人選手を応援する韓国人ラウンドガールと、粛々としている日本人ラウンドガール

この違いって何事にも当てはまるよな~と思った。