GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

テレビが衰退する理由について

昨日の名言は「メディアとITと金融界のドンになりたい」というホリエモンの怪気炎に尽きましたわな…。

 

ところで、ホリエモンの狙いについては先日にも触れたが、「ホリエモンはラジオ局をゲットすることで何をやりたいのだろう?」という問いについて、世間では「記者クラブに入りたいからじゃないの?」と評されてもいたが、昨日の記者会見でのホリエモンの回答によるとそれは否定されていた。

まあ、アテにゃならんけれども…。

 

ところで、「ホリエモンは、『テレビやラジオは衰えやがてインターネットに移っていく』と言っているが、仮にそうだとすると、どのようにしてテレビが衰えていくのかなあ…?」と考えていたら、その大きなヒントとなる記述を3月2日の日経新聞の「大機小機」欄に見出すことができた。

その欄を読むうちに二つの理由を見出すことができた。

 

一つ目は私が当初思っていた考えと全く同じ理由である。

それは、「テレビが衰えるのはインターネットのブロードバンド化による影響で人々がテレビをだんだんと見なくなるから」という単純至極な理由で、実際に、インターネット利用のピーク時刻は19時から22時でテレビのゴールデンタイムに重なるという結果も出ているとのことである。

言ってしまえば、これは「携帯電話の出費が増えたためにCDが売れなくなった」というのと似たような論理ということになるのですかな…。

 

また、映画嫌いの読書好き&テレビ嫌いのインターネット好きな私にはすごく良くわかることなのだが、向こうが一方的にセレクトした情報を向こうのペースで押しつけられることを面倒に思う人がテレビよりインターネットを利用したがるのではないかと思う。

とはいえ、「インターネットは、テレビほどには時間泥棒ではない」とは言い切れず、むしろインターネットのほうが時間泥棒かもしれないのだけど…。

 

二つ目のほうはより根源的な理由である。

それは、ハードディスクレコーダーの浸透によって、視聴者がテレビのCMを見なくなっているという問題である。

 

ハードディスクレコーダーを持つ家庭ではテレビ視聴時間の6割は再生録画を楽しんでいるため、視聴者がことごとくCMを飛ばして見なくなっているというのである。

そして、スポンサー企業もそのことに気づき始めていて、より広告効果の高いメディアを模索し始めているとのことである。

 

確かに、ハードディスクレコーダーのおかげで、私個人はこのところ、テレビドラマを生で見たことがない。

逆にいったんハードディスクに落としてからでないと、よそ見をして大事な場面を見落としてしまったときなどに巻き戻しができないから、むしろ生では見たくないのである。

そういうこともあって前から、「ドラマって実際には意外に見られているんだろうけど、視聴率には反映されてないんだろうな~」と薄々思っていたが「やはりそうか…」といった感じである。

 

その反面、スポーツ番組は生で見ることのほうが多いので、「スポンサーとテレビ局はこのようなコンテンツにお金を払わざるを得なくなっていくのだろうな…」とは思った。

これは余談だが、格闘技番組も生で見ることが圧倒的に多いのだが、この場合、KOが出たらKOシーンを何度か巻き戻しして流してくれるから助かっているものの、会場で生で観ると当然ながらそれができず、特にKOパンチが速すぎる場合などにそれを見逃すことがままあって、「時既に遅し」状態となるのが無念である…。

 

ということで、テレビ局が良い番組を作るとか作らないとかいう話ではなく、スポンサーが作る金を出すか出さないかという根源的な問題が発生してきているわけで、上記の一つ目の問題との相乗効果でテレビがジリ貧になっていくのは否めない気がする。

 

とか言って、番組の合間にCMを流すという手法自体が通用していないからということで、番組中に画面の端のほうで延々とCMを流しているなんてことになったりはせんだろうな?

また、これも余談だが、昨今はハードディスクレコーダーのCMがテレビを賑わせているが、それが今のテレビ局を潤しているというのは、何とも皮肉な話な気がしてならない。

 

そして、「テレビ局もラジオ局も相当な危機感を持っているのだろうな…」と思っていたが、残念ながら、ニッポン放送の社員一同が「私たちニッポン放送社員一同はフジサンケイグループに残るという現経営陣の意志に賛同し、ライブドアの経営参画に反対します」との声明を発表したという報道を聞く限り、ニッポン放送の社員にはそういった自覚がほとんど無いように感じた。

もちろん、上記のような理由なのだから、ラジオに関してはテレビほどには危機感を持つ必要はないのかもしれない。

しかし、その声明からは、まるで会社を従業員のものであるかのように勘違いしているスジが見られるところと、未来に対する危機感を全くうかがえないのがいただけない。

 

私は多少の反論を言うことが悪いと思っているわけではない。

ただ、未来への危機感を感じさせない感情論を言うのは幼稚だと思うし、また、堀江氏の戦略の全貌が明らかになるまではもう少し傍観するべきだと思うのだ。

それに、「ほとんど株を持たない従業員が最大の株主に対してここまで激しくケンカを売ってもいいんかいな?」と思うのである。

また、M&Aとはいっても、ホリエモンは一応、未来に対する危機感をにおわせたビジョンを示そうとしているわけだから、単なるマネーゲームなのかそうではないのかを完全に見極めてから発言しても遅くはなかったのではないだろうか。

 

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