GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

私が尊敬する美容師さんのこと…

美容師さんと歯医者さんだけは完全に信頼できる人がいたのに、ずっと切ってもらっていた美容師さんが実家の不幸系の事情で故郷に帰ることとなったので、「最後に…」ということで送別会的な食事をした。 

 

彼はヘアーショーでグランプリを取るほどのスゴ腕だし、サバイバルゲームをして一緒に遊んだり、一緒に風呂に入ったりしたことがあったりして、また、彼のことがすごく好きだっただけに彼が故郷に帰ると聞いたときはショックを受けた。

 

また、私には指名料の1,050円を免除してくれていたし、私の彼女なんかにいたってはヘアモデルをしていたので、こちらは逆に、毎回、指名料の1,050円だけでカット・カラー・パーマのすべてをやってもらっていたこともあったのだが、それを差し置いてもものすごく腕が良かったのでそれだけに残念だった。

 

「誰が切っても髪型なんて大して変わらないだろう…」と思っている人はスゴ腕の人に切ってもらうと違いがわかるだろう。

私の場合、頭の形が極端な絶壁で、異常と言って良いほど髪の量が多いので、普通の頭の形に見せるだけでも相当に至難の技なはずなのだが、彼が切ると、仕上がりが良いだけでなく、2ヵ月ぐらい先の伸びまで計算して切ってくれているので、髪型の持ちが良く、しかもこれまで一度も仕上がりに不満があることがなかった。

 

とはいえ、私が住んでいる江古田にも50件もの美容院があるのにも関わらず、から西武池袋線を下って所沢の美容院に行っていたこともあって、「もう彼がいなくなるのなら美容院を変えようかな」とすら思ったのだが、彼が、「引き継いだ女の子は、タイトル受賞暦はないけど『無冠の帝王』と言って良いくらいの腕の子だよ」と言っていたし、彼には恩義に近いものを感じていたので、今後も同じ美容院に行こうと思った。

 

美容師さんって、彼は人気がすごかったので休みが月イチだったらしいが、休みが不規則かつ少なく、厚生年金にも未加入だったりするし、彼は総店長だったのでそれなりに貰っているはずだが、はじめのうちは基本給が低いうえボーナスがなかったり、彼の場合はハサミ代だけで100万円以上もしたりと条件面がすごく大変だけど、それなのにものすごい向上心・研鑽心を持って日々を生きていることを知っていくにつれ、「美容師さんって立派だな…」と最近つとに思うようになってきているのだが、彼は特にその鑑のような人なので、彼のような尊敬できる友人が遠くに行ってしまうというそのこともまたすごく悲しいと思う。

ちなみに彼はハサミには通算で300万円ぐらいかけているらしいが、ハサミは刀と同じで切れ味が悪いと断面がささくれて痛みや枝毛の原因になるから…との気遣いで高いモノを使っているらしい…。

 

しかも、彼には、昨年にお母さんが亡くなっていたこと、お父さんが重大な病に倒れたこと、および、あと2つのものすごい不幸があったことは知っていたのだが、実はそれ以外にも後遺症の残る障害を持ってしまう系の身体面での不幸が彼の身に起きていたことを今日知って、ただただ絶句した。

 

普通の人ならその中の一つだけでもショックでとても耐えられるようなものではないと思うレベルの不幸なのだが、そのことを表面上は露にも見せずにいつものクソ明るい態度で仕事に励んでいた彼を思い出すと心の底から応援したくなるし、何一つ不自由のない立場にある自分も「がんばらなきゃ!」という気持ちになる。

 

ただ、それほどの男だけあって、昨年末からずっと今週末ぐらいまで何十回もの送別会があったらしいが、「こういう男には是非とも成功して、自分の店を大繁盛させて欲しいと、自分も含め誰もがそう思うのだろう…」と心の底から思った。

 

あ~あ、さよならだけが人生さ~。

 

出雲大社