「ジェノサイド」という言葉を聞いてもパッとは何のことかわからないが、「民族浄化」というような言葉で聞くとその意味の衝撃が良く伝わる。
歴史上のジェノサイドには以下のようなものがある。
- キリスト教による魔女狩り
- 十字軍によるユダヤ人およびアラブ人虐殺
- イギリスによるタスマニア人虐殺
- ロシアによるポグロム(ユダヤ人虐殺)
- ナチスによるホロコースト(ユダヤ人虐殺)
- カンボジアのポル・ポト派による虐殺
- 旧ユーゴスラビアによるボスニア内戦時の民族浄化
- ルワンダにおけるフツ族によるツチ族虐殺
スターリンや毛沢東がやったことはどうなのかはわからないが、ウィキペディアには上記がとり上げてあった。
そして、ジェノサイドが現在においても起きている地域が世界にはある。
それはアフリカである。
ルワンダで1994年に起きたフツ族によるツチ族へのジェノサイドで100万人が死んだのは記憶に新しいが、現在でも、スーダンのダルフール地方で放牧系のアラブ系民兵組織が農耕系の黒人住民を殺害しまくっている。
そして、ルワンダにおいても国連やアメリカは何もできなかったが、スーダンにおいても、これを「意図的に」放置しているスーダン政府に対して国連が制裁を加えようとしても、スーダンへの石油利権を持つ中国が拒否権を発動するつもりだという。
アメリカが自らの国益に関係のない国を黙殺してもそれはまだ仕方がない。
この件については大統領選の黒人票を狙っているからとも言われるものの、アメリカが最も積極的に救済に乗り出しているという。
しかし、国連は別である。
国連が今回も何もできないようでは、国連には紛争を解決する能力がないと断罪せざるを得ない。
そして、いつもこのような活動に消極的なのは国内で同じように人権弾圧を続ける中国やロシアなのだ。
確かに、アフリカの紛争の原因の多くはヨーロッパによる植民地政策にある。
しかし、日本とアフリカでは歴史面・文化面・経済面においてあまりに縁が薄いこともあってか、日本人にとっては関心があまりに低い…いや、低すぎる。
阪神大震災での被災犠牲者数6,432人が、2001年のインド西部地震の2万人や、2003年のパキスタンのバム地震の4万人より高い関心を得るのは国内問題なので当然だとしても、5万人が殺害され、165万人の難民が発生された事実が、アメリカ同時多発テロでの死者数3,000人余りや、イラク戦争におけるアメリカ兵犠牲者数の1,000人余りなどと比べて圧倒的に多人数なのにも関わらず、それがどういうことかほとんどニュースにもならないし、日本国内での関心もきわめて薄いことは大きな問題だと思わざるを得ない。
もしかしたら、犬が5万匹惨殺されて荒野に放置されていると聞いたほうがショックを受けかねないのが日本人のメンタリティーだ。
しかし、これは犬ではなく人に対してなされていることだ。
私とて、「こういう事実があったという記憶を残すことと、そのときの死者の数を暗記しておくこと、そういうことが起きていることに関する想像力を働かせること」ぐらいなことしかできていないが、何も意識しないよりはまだマシだと思っている。
何も意識しないのは偽善よりもむしろ罪だと思うからだ。
現在の世の中でジェノサイドが行われているという事実だけでも日本人には認識していて欲しいと思う…。
カンボジアにて