GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

香港の苦境を思う

香港における逃亡犯条例の改正の動きの直接のきっかけは2018年2月に台湾で起きた殺人事件だったようである。

台湾で起きた香港人カップル間の殺人事件を裁くのは当然ながら台湾側だが、現在、香港と中国・マカオ・台湾との間では一国二制度のもと犯罪人引渡し条約を結んでいないので犯罪者を台湾当局に引き渡すことになっていないようである。

香港に犯罪人引渡しの制度が必要だと中国や傀儡当局は考えたのだろうが、そもそも香港は国ではないので犯罪人引き渡し条約ではなく今回の条例の改正という動きになったようである。

しかし、とんでもないことにそもそも中国は台湾を承認していないため「中国国内である台湾」での殺人事件も中国当局に引き渡すという流れになるということなのだろうが、この1件だけならともかく、香港と中国間で犯罪人引渡し条例的なスキームができると恐ろしい未来が待っているということは誰にも想像がつくので今回の香港人による運動はどう考えても支持せざるを得ない。

 

なお、日本には世界的に大変評判の悪い死刑制度があるためだと思うが、日本が犯罪人引渡し条約を結んでいる国はアメリカと韓国だけらしい。

しかし、日本の場合は国際手配をしたり当該国の代理処罰によって処理することが可能なのだが、香港と台湾間は「中国国内」ということで国際手配だとか代理処罰といった国際的な手続きができないということなのだろう。

 

もう一度繰り返すが、香港と中国間で犯罪人引き渡し条約的な条例が締結されて香港人が中国にしょっぴかれるようになったら、ウイグル人チベット人が遭ったような目に遭うことになる可能性があるというのは十二分に想像できるし、世界中が中国共産党のやり口を全く信用していないというのも事実である。

中国当局に顔面認証をされるのを恐れて香港人がマスクで顔を隠さざるを得ないあたりからしても中国共産党ディストピア的な恐ろしさを感じる。

また、本来、逃亡犯条例が適用されたら困ると最も警戒している層は不正な方法で香港に蓄財している共産党員を含む中国人や香港人の経済人なのだろうが、中国共産党に飲み込まれたくないと強く願う学生らが指導者を掲げずに散発的に運動を始めてここまで拡大しているのだから本当にあっぱれだと思う。

香港人は愛国教育などというクソな洗脳教育を受けずとも自然と真の愛国者となっているのである。

日本が香港のような状況に追い込まれることは考えづらいが、仮にそうなったとしても今の時代に生きる日本人がここまでがんばるとは考えづらい。

もちろん俺も日本に国家存亡の危機が迫ったら国のために命を捧げようなどとは1ミリも思わずにとっとと他の国に逃げる。

 

とはいえ、香港人の暴徒化したデモ隊の破壊行為に理があるかといえば、それはないように思う。

しかし、2012年に中国側に挫折させたはずの愛国教育に関して習近平が再び食指を伸ばしていること、2014年の雨傘運動が挫折して普通選挙の実施が頓挫した経緯、今回の運動における中国および傀儡当局の動きを見ると追い詰められた香港人の気持ちを理解するなというのが無理な話である。

 

そして、今回の逃亡犯条例は撤回されたが、普通選挙等を求める闘争はまだ続けるようであり、暴力的な行為も含め、運動は収束の気配を見せていない。

女神と呼ばれる周庭氏を始めとする香港人は日本にも助けを呼びかけている。

しかし、中華人民共和国を承認し、中国と経済的に強く結びつき、中国の人権弾圧に対して毅然とした態度を取らない傾向にあり、中国に対抗する軍事力を併せ持たず、そもそも軍隊を持っていないという建前で、第二次世界大戦における敗戦国である日本にできることは少なく、歯がゆい気持ちでいっぱいになる。

また、一歩路地に入ったら普通の生活が行われているとは聞くが、どこかで折り合いがつくかたちで運動が収束しないと香港が受ける経済的なダメージが心配になる。

 

世界にはタイ・インドネシア・インド・トルコなど、親日国と呼ばれる国は数多くあれど、お互いに深く知り、近い感覚を共有できる国はどうしても限定される。

民主主義の価値観や似た社会システムを共有する国々のなかで、欧米諸国とアジアの先進国を比べたらやはりアジアの先進国の国民とのほうがより近い感覚を共有できる。

実際に接したら日本人と韓国人が最も近い感覚を共有できるということはお互いにわかっているのだが、残念ながら日韓は強く嫌いあっている。

そういう意味で日本人が最も近い感覚を持って接することができる相思相愛の国は台湾と香港の2ヵ国で、次点は独裁的な一面もあるけどシンガポールだろうと多くの日本人が感じていると想像するが、それだけに香港や台湾の受難は本当に無念である。

 

異様に過密で住宅価格が高く高温多湿で住むにはしんどいだろうなあと思うものの俺は香港が大好きなのでこれまで4回行っていて、直近の2回は一週間以上滞在している。

世界屈指の自由都市であり国際金融センターとなっている香港の機能は中国にとって必要な機能のはずと思うのだが苦境にある香港の行く末が気になって仕方ない。

 

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ああ香港…

 

香港の輝きは上海の輝きとは全く違って自由の空気をまとっているからこそのこの輝きなのである!