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世の中をかいくぐって逆張りの人生を歩む俺の意見

選挙の洗礼あれこれ

森友事件において首相も財務大臣も辞任に追い込まれずに済んだが、財務省は忖度して文書書き換えに手を染め、朝日新聞相手に一敗地に塗れ、また、末端職員に自殺者を出してしまったものの、結局は歳入機関と歳出機関に分離解体されることはなかった。

あれほど日本中の注目を浴びた事件だったのに、今や財務省は消費税増税という果実を手にしつつあり、さらに防衛省に対して今後5年間で1兆円規模のコスト削減を迫るという剛腕ぶりを発揮している。

中央省庁の障害者雇用の水増し問題にしても、新しく障害者を雇うことで、うやむやなまま収束するだろう。

橘玲氏は「中央省庁が障がい者雇用を水増しするほんとうの理由という題の文章において、これほど障害者に向いている職場はないのに、「なぜ健常者が彼らの仕事を奪っているのか」と疑問に思う人間が出てくるといった趣旨のことを述べられているが、これはあまりに痛快な文章である。

政治家は選挙の洗礼を受けるが、選挙の洗礼を受けない中央省庁の役人の好き勝手はまかり通りやすいのだろう。

 

選挙の洗礼がない国といえば、中国や北朝鮮が思い浮かぶが、サウジアラビアは「実」だけではなく、「名」の部分でもサウード家支配の絶対君主制の国家である。

世界でもかなり特殊な立ち位置にある国家であるサウジアラビアによるカショギ氏殺害は、サウジアラビアらしいといえばらしいが、あまりにもお粗末であり、あまりにきな臭い。

サウード家といっても82歳のサルマン国王には凄まじい数の子供がいて、ムハンマド皇太子はその25番目の男子なのだが、政敵をリッツ・カールトンホテルに押し込めるなどして、実質的な権力を手にしている。

こんなに子だくさんならサウード家の王族が多すぎて血も薄まるというか、跡継ぎの正当性なんてあるのかとも思うが、あの若さで凄絶な権力闘争を勝ち抜くのだからすごい人物である。

サウジアラビアは、世界の原油供給や価格決定に絶対的な影響力を持ち、メッカとメディナの聖地を擁する16億のムスリム世界の盟主でありながら、アメリカにとって特に重要な同盟国であり、また、アメリカの武器を買いまくってくれる上客中の上客なので、ワッハーブ派の戒律で国家を運営しようと、どんなに女性の権利を奪おうと、すさまじい人権弾圧をしようと、公開処刑をしようと世界から公然と黙殺されている特殊な国家である。

特にトランプ政権はサウジアラビアとの距離が近く、改革派とも目されてきたムハンマド皇太子とクシュナー氏の仲はとりわけ強固とされるわけで、今回の件で頭を悩ませているのはむしろトランプ政権のほうである。

日本にとって最大の原油供給国であるサウジアラビアは日本の生命線も握っており、日本にとってサウジアラビアから原油を買わないというカードはない。

北朝鮮やシリアのアサド政権を見てもわかるが、独裁政権は簡単に失脚しない。

独裁国家には選挙の洗礼がなく、超長期政権なので時間を味方につけられる。

どれだけ世界中が引こうとサウジアラビアにとってはどこ吹く風で、権力構造は変わらないだろうと思う。

また、確かにこの事件はサウジアラビアにとってはばつが悪かったが、時間が経てば見事に忘れ去られるだろうと思う。

サウジアラビアがトルコに対して恨みを忘れることはないと思うけど…。

なお、サウジアラビアは超福祉国家なのに原油輸出以外の産業がないという宿命的な弱点を抱えている国であり、実はインフラ面も弱く、超長期的には相当大きな問題を抱えている国でもある。

 

政権および自民党は移民政策へのギアをさらに入れたようだ。

労働者不足の解消・安い賃金で働く労働者の確保という2つの果実が、労働者賃金の降下圧力・医療や社会保障の福祉コスト・帯同家族の教育コスト・治安や文化摩擦への影響を上回ると判断したのだろう。

つまり、「労働市場原理に従って、人が集まるまで賃金を上げ続ければ良く、賃金を上げ続けられないブラック企業や省力化できない生産性の低い企業は淘汰されるべし」とは考えなかったということである。

根底には自民党の支持層である中小企業の経営者への配慮があるのだろう。

同時期に消費税の増税も決めたが、ポイント還元などという小手先の策を弄し、携帯電話料金の値下げを迫ったり、カード会社に手数料の下げを迫ったりするといった政治圧力をかけるなど、やることの恣意性が強すぎてうんざりするが、移民を増やし、消費税を上げればデフレ脱却への道が遠くなるということは確かだろう。

他国のようにGDPを成長させたいのであれば、デフレ脱却が至上命題だが、非勤労者層にとってはデフレから脱却されては困るわけで、投票率の高いこの層への配慮もあるのだろう。

 

選挙の洗礼といえばアメリカの中間選挙が迫っている。

トランプ氏ほど自分の支持層の意向に忠実に従う政治指導者は稀有である。

たまに軍事政策や環境保護政策などで脱線することはあっても、自由経済と民主主義を推進し、理想を説いて世界の国々に秩序とルールを守らせてきた超大国のトップがここまで自分の支持層の意向に露骨に従うことがあるとはトランプ政権の樹立までは想像だにしなかった。

選挙民の力、あまりにも恐るべしである。

 

4月末に北へ渡ったゆりかもめが昨日隅田川に戻ってきた。お帰りなさい!