GOODDAYS

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日本経済と労働政策⑥ とうとうGDPギャップが埋まった

消費が増えない根本的な理由は、GDPの6割を占める肝心の家計の可処分所得がいつまでも増えないからである。

企業は不況時に人件費を下げずに労働分配率を上げて踏ん張っている代わりに、好況時になると労働分配率を下げて人件費を上げないまま長らく経営している。

 

その甲斐あって、それなりの配当を払い、自社株買いもしているとはいえ、企業の内部留保は信じられないほどに増え続けているのだが、内部留保というの多くは設備投資や海外投資に回しているわけで、企業に真水で資金が残っているというわけではない。

このあたりのことは日本共産党などが大きく勘違いしていることである。

 

また、個々の企業に対して、配当性向が低いことを悪いと言うつもりも、内部留保が多いことを悪いと言うつもりもないのだが、労働分配率を上げずに済み、貪欲に時価総額を追求する孫正義氏のような経営をせずに済む日本の経済環境が日本国内で消費が増えない原因につながっているいうことは述べておきたい。

 

日本企業は人口減少による国内市場の縮小を見通して、内部留保を海外に投資して、莫大な第1次所得収支を得ている。

なお、第1次所得収支とは株式投資等による配当・利子および海外子会社から受け取る配当金や投資収益のことであり、不労所得のようなものであるが、国内の個人投資家が得ている利益よりも日本企業が得ている第1次所得収支のほうが圧倒的に多い。

なお、日本は2017年で21.8兆円の経常黒字を得ているが、輸出額は78.3兆円、輸入額は75.3兆円で、貿易黒字は3兆円に過ぎず、経常黒字の多くは貿易によるものではなく、海外の第1次所得収支から得ているものである。

また、マスコミがやたらと騒ぎ、書きたがるインバウンドによる黒字は2017年で1.7兆円に過ぎず、第1次所得収支と比べれば微小なものなのである。 

 

日本企業は、時価総額というかたちではさほど評価されないものの、利益だけは着実に積み上げ、その多くを内部留保に回して会社をキャッシュリッチにした結果、海外からの莫大な不労所得を得て利益に計上できるようになったわけだが、配当性向が低めでも外国人以外の持ち合いなどの株主からは怒られないし、終身雇用制度によってクビにはできないものの、正社員を従属化することに成功しているため、彼らは利益に準じた賃上げを要求しないし、ストライキもせずに滅私奉公で長時間働いてくれるのだから、他国の経営者に対して日本の経営者の置かれた立場は天国のようなものであるとはたびたび言われることである。

 

とはいえ、日本の大企業経営者の多くはサラリーマン経営者で、彼らは責任を負わない多数の相談役の意向を忖度して経営をしているわけで、社内政治的には大変なのだろうけれど、最近までは引退後には相談役としての椅子がきちんと用意されていたわけである。

東芝の過去の相談役の顔ぶれを見ると社員もいたたまれないよなと強く思う。

 

GDP=消費+税金+貯蓄

 

分配面GDPを見ると上記の式が成り立つ。

消費税金は使われて誰かの収入に直結するし、貯蓄をしても投資に回せば企業活動に還流するが、日本人は貯蓄の半分以上を現預金してしまっている。

 

貯蓄率は年々下がっているとはいえ、個人金融資産は増える一方なのだが、その半分が現預金として眠ってしまって投資に回らないうえ、金融緩和政策で利子も生まなければ銀行も資金がジャブジャブで貸し出しにも回らない。

アメリカでは個人が株式や投資信託に貯蓄の半分を投じて莫大な運用益を上げてきたのに対し、日本人は預貯金を膨らます一方である。

かくして日本株の3割は海外勢が持っているのだが、PERを見てもかなり割安だというのにあまりに個人の金が日本の株式に入ってこないので、政府機関や日銀が日本株を買いまくって支えているといういびつな有り様である。

日本人のお金に対する考え方のセンスのなさと貯蓄が招く合成の誤謬にどうしようもない気持ちになるが、それにしてもずいぶんと長い時間が経ってしまった。

 

これまで述べてきたように、日本経済は需要不足による苦境を散々味わってきたのだが、内閣府によると、アベノミクスの効果が実ったのか、昨年あたりからとうとうGDPギャップが埋まり、需要が供給に追いついてきたようである。

内閣府日銀の資料を見てもバブル期ほどではないが、確かに需要が供給を上回るようになっている。

 

需要が増え、それに応じて供給を増やすために人手不足になっても、まだ品薄になるまでには至らずにインフレは起きていないが、アベノミクスの狙い通りに失業率は最低水準に達した。

人手不足さえ起きれば企業は労働分配率を上げてでも賃金を上げざるを得なくなり、非正規労働者→正規労働者の順番で給与が増えるようになるので、消費が上向くようになり、上手くいけばインフレ基調に転じるようになる。

そうなれば日本経済はあまりに長かった停滞から完全に脱することになる。

 

2018年夏の企業の賞与はかなり高かったようである。

しかし、賞与増は貯蓄に回って消費に回らないという、一般的な経験則がある。

毎月の給与が上がってこそ家計の消費が増えるようになると言われているのだが、日本経済の停滞脱出=GDPの増加再開まであと一押しという状況になってきた。

 

しかし、ここで大量の外国人労働者を入れてしまえば賃金が低下し、失業率も上がり、個人消費が増えずデフレが続くので、全ては元の木阿弥になることになる。

自民党の総裁選が近いが、自民党員になったり献金したりして声高に自民党に陳情する中小企業の経営者と、声を上げない労働者の戦いである。

労働者には生産者としての側面と消費者としての側面があるのだが、特に外国人労働者にとって代わられる可能性のある仕事をしている労働者においては、外国人労働者受け入れが進まないことによって消費者として受ける多少の不利益よりも、外国人労働者を受け入れることによって生産者として受ける損失のほうがずっと大きいということぐらいは自覚しないといけないと思う。

「労働者はここで決起しなくてどうする!ここで外国人労働者の受け入れ反対と明確に意見しないようなら労働者はずっと自民党からバカにされたままになるよ!」と強く思うのである。

 

とはいえ、正社員として確固たる地位を築いて高収入を得ている層や高度な日本語が求められる仕事をしている人にとっては外国人労働者は給与の降下圧力にならず、失業の要因にもならないわけで、絶対安全圏にいる彼らのマインドは中小企業の経営者とさして変わらないのだろうが、巡り巡って日本経済の低迷というかたちで結局は報いが戻ってくるわけですな…。

 

あと一押しである。

 

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