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日本経済と労働政策③ 移民政策

移民を受け入れてしまうと時給の上昇圧力が挫かれて時給が下がるうえ、短期的にも長期的にも社会不安の原因になりやすいので、日本は移民政策には長らく慎重な立場を取り続けてきた。

 

先日、日本商工会議所などが外国人労働者の受け入れを強く陳情している件が報じられたが、自民党の支持層である農業・建設業・中小企業のオーナーは外国人労働者の受け入れを陳情し続け、同時に最低時給の引き上げに猛烈に反対している。

自民党支持層である彼らの陳情に屈した政府は2018年6月15日の「骨太の方針」に外国人労働者を受け入れる旨を盛り込み、文中にはないものの、農業・介護・建設・造船・宿泊の5業種の単純労働の移民を2025年までに50万人程度受け入れる旨も報じられた。

余談だが、総花的ではあるものの「骨太の方針」は政府の各白書と同じく、なかなか読み応えのある文書である。

 

移民は将来的に福祉の受給者になるわけで、移民が子だくさんであることなども含めて欧米各国でことごとく問題化していることもあり、骨太の方針では「移民政策とは異なる」と述べながらも、「一定の試験に合格するなどより高い専門性を有すると認められた者については、現行の専門的・技術的分野における在留資格への移行を認め、在留期間の上限を付さず、家族帯同を認める」とあるので、移民政策へ舵を切ったようにも取ることができる。

「移民受け入れやむなし」と考えておられる経済評論家の町田徹氏はこれを事実上の移民政策への転換として歓迎していた。

 

もちろん、どうやったって日本人だけで人員を賄えなさそうな産業を調査させ、そのうえで農業・介護・建設・造船・宿泊の5業種を選定したのだろうと思う。

 

歴史的に自民党の地盤であり続けてきた農業補助金や関税等において常に優遇されている業種だが、外国人に働いてもらって競争力を上げるのであれば、人権の観点で国際的に評判の悪い技能実習生制度を使って不当な低賃金で雇用するのはもうそろそろ止めなくてはならないと思う。

外国人労働者を用いるのであれば彼らに正当な対価を支払うべきであり、競争力を上げるために、大規模化・株式会社化を進め、自給率確保を促進するのは生鮮食品に限るべきであり、穀物等に関しては競争に勝てないのであれば輸入や外国での生産管理で賄うべきだと思う。

そもそも、日本国内のコメ不作や北海道の牛乳品薄はあれど、農地のないシンガポールで一人も餓死者が出ていない点や、先進国で食料廃棄が問題になっても食糧難になった事例がない時点で食糧安保論は大嘘なのである。

 

介護は絶対に必要な業種だが、介護従事者への成り手が少ないのであればそもそも論として介護保険料を上げて、人が集まるまでどこまでも時給を上げまくるべきだと思うが、将来の需要増を考えると受け入れは仕方なくも思う。

俺が介護職をやるなら時給5,000円は欲しいからそう思うだけかもしれないのだけど…。

 

造船業は典型的な負け組産業で利益も出ていないので切り捨てて他の業種への人材の移転を図るべきだと思う。

建設宿泊、すなわち、ルーム・ベッドメイキングは代表的な3K労働で成り手が少なさそうなので仕方ないのかなとも思うが、掃除魔の俺はルーム・ベッドメイキングなら時給2,500円以上ならば受ける。

 

なお、新規に単純労働者を受け入れる前の現在の日本社会においても既に外国人労働者は欠かせないが、現在の外国人労働者は主に留学生技能実習によって構成されている。

もちろん留学先としては欧米諸国が人気なのだが、欧米諸国に留学するには留学ビザ取得に親の所得証明が必要、かつ、就労できないうえ、学費も高いため、比較的裕福ではない層が就労を許可している日本に留学する。

外国人労働者が日本社会で生活するうえで必要な日本語を自費で勉強してくれるのは本当にありがたいことなのだが、国が上限に定めている週28時間の枠内で目一杯に働いても月に10万円程度しか稼げないのが泣き所だと思う。

 

それでも自国の初任給が3万円程度だったりするので喜んで来日するわけだが、来日するためにブローカーに多額の借金をするうえ、語学学校や大学の学費も高いので、上限を違反して、かつ、寝る時間を割いて28時間以上働かざるを得ない人が多くて泣けてくる。

そもそも働くことが目的で来日しているので、学費のいらない技能実習生は手っ取り早いのだが、先に述べた通り、技能実習生制度の悪用事例が多すぎるのでこの制度は止めるべきと考える人も多いのではないかと思う。

 

そして、追い込まれた留学生と実習生がドロップアウトして食い詰めた違法滞在者になり、日本社会の不安要因になってしまうことを、お互いのためにどうにか防げないのだろうかと思うのだが、そういう意味では、語学テストと技能テストを課した後の単純労働者の受け入れという今回の骨太の方針の方法は手っ取り早い方法だとも思う。

しかし、日本語を話せないであろう家族の帯同をゆくゆくは許すリスク、および、移民希望者と受入数の需給を上手く調整する制度の設計はなかなか難しいだろうなと予想する。

介護実習生制度における日本語能力試験の難しさに激しい批判が寄せられたのと同じような批判が集まるだけのような気がするのである。

また、日本語能力の不足を理由に生活保護を受ける外国人居住者の数は年々増え続け、かつ、それを仲介する業者も横行するなかで、新たな問題が起きないかはどう考えても気になるところである。

 

日本社会の高齢化に伴う本格的な労働者不足を考えると全く移民を受け入れないというのは難しいと思うのだが、労働需給の最大の下方圧力になること、いずれ彼らが福祉の受給者になること、言葉の壁や貧困が社会の不安定化の原因となること、法の穴をくぐって福祉を食い物にする目的の者を排除することに最大限の配慮しながら移民制度の設計をしていくことが強く求められると思う。

 

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