GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

高金利通貨が高くなる説と金利平価説

為替を決定づける要素にはさまざまな要素がある。

金利、インフレ率、景気、経常収支、購買力平価、経済の成熟度、財政債務、財政政策、税制、中央銀行のバランスシートの大きさ、マネタリーベース、マネーストック、政治情勢などなど、ありとあらゆる要素が為替に影響を及ぼす。

 

原理原則で考えれば、通貨が高い国は国力のある国で、そうでない国は国力がない国であるといえ、先進国の通貨の価値が高いから先進国は豊かなわけである。

タイの1バーツは約3.5円で、1時間100バーツのマッサージを受けると日本人にとっては350円しかかからずに済むのに、日本で100万円で売られる日本車はタイでも100万円程度で売られるわけで、マッサージ師が車を買うのはとても大変ということになるわけである。

 

でも、実際には国際競争力を維持するために自国通貨を安く誘導しようという国のほうが多いのも事実で、表裏のメリット・デメリットがあれど、メリットのほうが大きいと考えるからだろう。

 

 

金利通貨が高くなる説

為替を決定づける要素は色々あると述べたが、その中でもとりわけ金利の及ぼす影響は大きい。

昔、円キャリートレードという言葉がよく使われたが、一般的に運用資金は金利欲しさに高金利通貨に流れるので、需給関係で高金利通貨が高くなると言われる。

 

長らく、2年物日米国債金利10年物日米国債金利ドル円為替レート相関は高いと言われ続けてきた。

金利通貨が高くなり、低金利通貨が安くなるという方向に相関が強いということである。

 

ところが、ここ3ヵ月程度の短期的なトレンドとしては、米国の金利が上昇傾向にあり、ゼロ金利の日本との金利差が拡大しているというのに米ドルが安くなる傾向にあり、日銀の国債買い入れ額が減少していることに関してステルス・テーパリングととられ、円高が進行しているほどである。

bloombergの増島雄樹氏の記事に図表が載っているが、長期金利の指標となる10年物日米国債金利差が上がっているのに円高が進行していることが良くわかる。

というか、長短金利操作=イールドカーブコントロールにより、日本の10年国債金利はほぼ0なので、米国10年国債金利次第なのだが…。

だからドル買いポジションを持つ俺は困っているが、レバレッジ1.6倍程度でしか運用していないのでまあ死にはせんだろうと思っている。

 

仮に、金利が高い通貨が高確率で高くなるのであれば、高金利通貨を持っておいて後で売るだけで譲渡益を得ることができる。

さらに、高金利通貨と低金利通貨の金利差に応じて配分されるスワップ・ポイントという金利を得ることもできる。

ということは金利通貨を持てば、譲渡益は得られるわ、金利は得られるわでいいことづくめということになる。

 

金利平価説 

ところが、実際のところそうは問屋が卸すはずがない。

三面等価の原則だとか、総金融資産と総金融負債が一致するのと同じで、為替はゼロサムゲームであり、プレイヤーの利益と損失は必ず一致する。

譲渡益もスワップも必ずゼロサムである。

フリーランチは存在しない。

どこかで逆方向の調整が入るのである。

 

ところで、高金利通貨が高くなる説とは真逆の為替決定理論に金利平価説というものがある。

 

これは、長期的には高金利通貨は低金利通貨よりも安くなるというものである。

以下の通り、原理原則で考えればこちらのほうが正しいはずである。

 

ここでは国債でなく、現金を例に考えることとするが、仮に、A国にドル―、B国にペソ―という名前の通貨があったとして、ドル―とペソ―は今日現在は等価で、金利には大きな差があったとする。

A国の金利は5年間ずっと10%で、B国の金利は5年間ずっとマイナス1%だったとして100ドル―と100ペソ―はどうなるかを見てみる。

A国の100ドル―に10%の金利が5年間ついたら161ドル―になる。

対してB国の100ペソ―は5年後に95ペソ―になる。

もし、5年後に100ドル―と100ペソ―が等価だったら、誰もペソ―など持たないだろう。

だから、長期的には161ドル―と95ペソ―がほぼ等価になるように為替相場が動くはずだ、フリーランチはないのだから…というのが大まかな金利平価説の理論ということになる。

ましてや、金利の国はインフレ率が高く、低金利の国のインフレ率は低いということは間違いなくいえるのだからなおさらのことである。

名目金利が重要なのではなく、インフレ率を加味した実質金利こそが重要という論以上に説得力のある論は見当たらないように思う。

 

でも、結果から言うと金利平価説は全く当たっていない。

何故なら、為替レートと日米金利差の相関のほうが実質金利との相関より強いからである。

 

金利平価説は当たっていないし、だからといって無視できないし、高金利通貨が短期的に買われやすいのは事実だし、ここ3ヵ月のドル円レートは逆になっているし、テーパリング観測が出るだけで上昇したりで、確実な見通しがわかる人がいないから日々のトレードが存在するんだわなと思う。

 

なので、為替予想が当たらないからといって自分を責める必要はない

粛々と損を抱えるだけで良いのである…俺のように。