前にも同じようなことを書いたことがあるのだが、それにしても今の世の中を見ると有名人になることほどしんどいことはないと思う。
ビッグデータのために持っていかれる個人データがどう利用されているかということを考えるだけでも、もはや常人が考えるだけ無駄な気がするが、もし、有名人の紐づいたそれが誰かに悪用されたとしたらと考えると恐ろしすぎる。
僕はLINEをやってないけど、あんなのが週刊誌に晒されるぐらいだから、全くない話ではないだろう。
有名になってしまうと、匿名側にいる悪意の第三者に人生を通じて書いたことや発言したことや目撃されたことのアラを探されてネットで叩かれやすい。
顔を出して街を歩くときも常に誰かに監視されるような気持ちになる。
他人から普通の人として認識されなくなるし、有名になり過ぎるとマスコミからも追われる。
ネットでも好きなことを書けず、外でも他人の目を気にし、人前でも心を許せなくなり、ニュースの出所が大抵近いところからということを考えると心を許せる相手への警戒もなくならない。
考えただけで地獄のような世界だと思う。
パートナーに「どうしても有名人にならなくてはならない場合に、いくらでなら承知するかと聞かれれば、俺は1億円はもらうと答える」と言った。
パートナーは「私は3億はもらわないと嫌」と言った。
そうだよな、有名人になるってそれぐらい嫌だよな。
とはいえ、思ったことを書きとめるだけであればブログではなくグーグルドキュメントにでも書いておけば良いわけで、実際、読んだ本で気になった文章などはグーグルドキュメントにメモを残し続けている。
本を読みながらマイクに向かって文章を読み上げてメモを取ったりもする。
このブログもそういったメモの類の一つだが、ブログにアップするという行為に人に読んでもらいたいと意図がないといえばウソになる。
でも、間違っても有名ブロガーのようにはなりたくない。
零細ブログであることが心の底からありがたいと思っている。
今のように日本全国のうちの数十人の方に細々と読まれているという状態がなんとも心地良い。
だから絶対にバズりたくない。
もちろん、多くの人に読まれる文章を書く能力はないし、万人に好かれるような内容を書いてないのだが、どこかでバズって有名になったりしたら、ここまで好き勝手に書いている手前、ブログそのものを消すか、旅の写真など含めて写真をネット上から全消しするしかないよなあ~。
まあ、後になって消しても遅いだろうが。
有名税は有名になりたい人やテレビに出ても構わない人が払う分にはいいだろうと思う。
かわいそうなのは、秀逸な会社を作ったり、突出した才能を持って名が知られたり、スポーツで好成績を収めてしまったがために有名になってしまった人である。
どうしても有名になりたくない天才はどうすれば良いというのだろうか。
有名にならないためには、実績を上げないようにしたり手を抜くしかないのだろうか。
唱歌、仰げば尊しに、「身を立て 名を挙げ、やよ 励めよ。」という歌うだけで背筋が伸びる美しい一節がある。
でも今は、身を立てたり、名を挙げたりしたら本当に最悪だから、際立つほどには励みたくない世の中である。
昔は、匿名で多額の寄付をする人のことを「偉い!奥ゆかしい!」としか思ってこなかったが、今は皆に尊敬されることですら有名になりたくないという気持ちが痛いほどわかる。
有名人の人生に深く同情を申し上げる。