GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

低コストで済む世の中が到来してしまった

A級品は高いけど、ちょっと我慢すればとんでもなく低コストで済む時代である。
例えば以下のような感じだ。

音楽CDの代わりに配信サイトで好きな曲を個別に買えるからアルバムの存在価値が激減してしまっている。

それよりも聴きたい曲をYouTubeで見れば簡単に聴ける。

僕に関しては、ここ十年は音楽に疎いせいもあってほとんど配信サイトで買ってすらおらず、昔からPCに落としている1万曲程度の曲とインターネットラジオばかりを聴いているのでもっとカネを使っていない。

 

映画館ではたまに3DXとか4DXで倍のカネを払って観ることもあるが、1,800円を払って今観る価値があるものか、レンタルビデオ等では出なそうな映画以外は観なくなっている。

Amazon PrimeNetflixやこれも下火ではあるがレンタルを利用すればとんでもなく廉価だ。

 

本はただでさえ、ネット情報で十分といって本を読む人が減っているなか、書店の売り上げ冊数を図書館で借りられる冊数が上回る有様。

仮に、低コストで済むKindleが半額で本を出すと言って出版社がこれに応じ始めたら本屋は減ってしまうのだろうが、それは本を吟味する場所を失うことにもなるから恐ろしい。

個人的には月額980円の定額サービスであるKindle Unlimitedにサービス開始と同時に加入してから読書量がさらに増え、紙の本を買って本屋に貢献しなければと思いつつも買う冊数が激減した。

図書館とブックオフの利用も激減した。

ネット上の情報を見るよりKindle Unlimitedで適当に本や雑誌を探して読んだほうがマシと思ってそうすることが多いため、僕の生活自体が変化したと言っていいかもしれない。

ちなみに、本はKindleでもデカいPCモニタでも読めるから本当にありがたい。

正直、このサービスのおかげで図書館のない田舎に住めるかもと思ったぐらいだ。

雑誌に関しては月額400円で160誌が読み放題のdマガジンは携帯電話で読むには小さいがPADサイズの端末を持てば問題が一瞬で解決してしまい、雑誌のビジネスモデルを根底から変えつつある。

書店にとって由々しき事態である。

出版社にとっても定額制が根づくとやがて紙の雑誌を買う人がいなくなるだろうから、タコが自分の足を食べているようなものとも思う。

 

新聞に関してもインターネットで情報を得られるため読まない人が加速度的に増えている。

強制的に紙が届くから見ざるを得ないのと、自分では読みにいかないような記事の見出しも視界に入る作りになっているのと、見出しの大きさで記事の価値を判断できるという3点が紙の新聞の長所で、この長所があまりにも際立っているから僕はなんとか新聞を取り続けているのだが、何といってもインターネットの情報はタダ。

なんだかんだ言ったところで情報の質に関しては新聞社と通信社のものが圧倒的なのだが、紙の新聞が立ち行かなくなったら新聞社自体が立ち行かなくなってしまうし、そうしたらニュースを提供する側の質も劇的に落ちることになる。

若い人の購読率の異常な低さを考えると新聞の未来は怖い。

ところで、試しに読売新聞と産経新聞の電子版を試してみたら両方ともかなり見辛い。

特に読売はバカデカと極小の2サイズでしか表示できず驚きのユーザビリティの低さですぐに購読を止めたのだが、新聞社が本気で工夫をしてパッドサイズで見やすい電子新聞を出すということが考えられなくもない。

電子版を見やすくして紙離れを起こしてしまったら衰退のスピードが劇的に早まることぐらいわかっているからそうすることはそうそうないだろうけども。

関係ないけど僕は日本の新聞がタブロイドサイズでなくブランケットサイズであることが前から不満である。

 

ゲームは全くやらんからよく知らんが、ゲームも無料のものが多い。

個人的には課金なんてされたら一気にドン引くのだが、ゲーム会社は課金で儲けるしかなくなってきている。

 

買い物に関しては小売店で見て、kakaku.comを参照してAmazon楽天などで買うパターンが定着してしまうと売店はただのショーケースになってしまう。

商品ごとに、店舗不動産コスト+店員の給与と、棚管理コスト+配送コストの安いほうが勝つドロ沼の戦いとなるわけで、これが定着しすぎると世の中全体に与える影響は絶大である。

 

服に関してもそうで、材料費に大きな違いがあるとは思えず、アパレル業界は価格に占めるマージンの差があまりに大きな業界である。

従来ブランドとほとんど同じようなデザインの服がユニクロから出ることが多いが、そういう場合には多くの庶民はユニクロで済ます。

ユニクロのこのところの進化は言うまでもないが、見る目さえあればユニクロでもそれなりのコーディネートに仕上げることができるようになってきている。

しかも、ユニクロの品質には間違いがない。

また、さまざまな角度から写真で商品を見て探し、ネット上に寸法を入力して最適な服を買える時代になっているのだから、不況にあえぐアパレル各社はさらに戦々恐々だろう。

 

旅行もあれだけYouTubeやテレビ番組等で画像を見られるようになったらバーチャルで十分という人も出るだろう。

何せ旅行ほど苦労と疲れが多い遊びもそうそうないのだから。

ちなみに、僕はシベリアの辺鄙な街の名前なんかをグーグルで検索して画像を見て楽しむのが大好きだったりする。

グーグルアースでの旅も頻繁にする。

僕はそれでも旅に出るが皆がそうとは限らない。

旅で手に入るかなり大きな要素に嗅覚というものがあるが、これは現地でしか嗅ぐことができない。

 

エロに関しても、リアルな努力はとんでもない苦労と楽しみを与えてくれたが、ネット全盛の時代になり、無苦労・無コストで自分の青春時代には考えもできなかったような非合法コンテンツが垂れ流され続けている。

これでは苦労して面倒くさいことをしたくないという人が増えても致し方ない。

しかし、ここまで無料で手に入ってしまうと作る側も全くペイしなくなるだろうから、そういう意味では供給側が耐えられなくなって衰退しちゃうんじゃないの?とも思う。

 

結婚して子供なんていたら見返りや意義は絶大であろうと人生の相当な期間が苦労ばかりになるのだが、それを避ければその長い期間が楽ばかりになるのだから恋愛や結婚や子供を持つことを避ける向きがさらに増えても少しも不思議ではない。

正直、バーチャルや代替手段で済ませられないのは食事ぐらいかもしれない。
あっ、食事すら廉価で美味いものがいくらでもある世の中だった。

 

これだけ生活コストや欲求を満たすためのコストが低コストな社会になれば時間を犠牲にしてまでの金銭欲は失せると思う。

このようにして金銭を伴う欲望を上手くコントロールしていけば、あまり働かなくても生きていける世の中なのである。