GOODDAYS

  世の中の歪みをかいくぐってひたすら逆張りの人生を歩む俺の意見

デービッド・アトキンソン氏著「新・所得倍増論」の感想

自分自身では日本社会のことを悪く書くことが多いのだが、外国人に言われると腹が立ってくることもある。

 

インターネット上で小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏の日本に批判的な文章を何度も目にすることがあり、その度に癪に触っていたのだが、今の日本社会における「日本のことを褒めて褒めて」という風潮のほうが何倍も不気味に思っているので、苦い思いはするのだが、批判内容はきちんと把握せねばと思い、東洋経済新報社から出ている氏の著書「新・所得倍増論」を読んだ。

 

その重要な内容と自分なりに新鮮に思ったことは以下の内容になる。

これは、あくまで僕個人がこの本から得た内容であり、長らく個人でWORD上につけている読書要約をコピペしたものであるので引用ではなく勝手な意訳である。

 

  • ① 世界で日本経済のみが長らく低位安定になっており、日本の一人あたりGDP・生産性の低さ・製造業の力・研究開発力のどれも先進国最下位レベルであり、購買力平価は韓国にもあと2年程度で抜かれそうであり、国民の潜在能力と実績が乖離しすぎている。

  • ② 日本社会は女性に任されている仕事の付加価値が他国より著しく低い。これが日本低迷の最大の原因である。

  • ③ 日本社会は女性にかけるプレッシャーが弱い。女性ももっと国に貢献すべき。

  • ④ 介護や建設の低学歴な移民を受け入れると社会に溶け込めず自分たちだけで固まって住むようになり後々問題を起こす。福祉の面でも圧迫される。どの先進国も今は高学歴の移民のみを受け入れる傾向にあるので、能力を活かしきれていない女性を活かすほうが先で、今は移民は受け入れるべきで段階ではない。

  • ⑤ 日本経済の分析は分析の体裁を取っているが根拠がない感想文のようなものが多い。

  • 実は政府はできることは全部やっている。企業の経営者こそがやるべきことをやっていないのが日本低迷の原因。

  • ⑦ 日本の経営者は色々な理由をつけて時価総額追求をしないでやってきたが、それがそもそも全ての間違いである。
 

ということになるのだが、以下が僕が思ったことである。

①は統計好きの僕も常々意識していたことで新味はない。

②③はおぼろげに思っていたことだがよくぞ言ったものだと思う。こんなこと絶対に外国人ででもないと言えないことだが納得。

④⑤はやっぱりそうだよねと納得。

⑥は僕も不良債権処理・ビッグバン・規制緩和・民営化・減税・公共事業・円安誘導・マイナス金利と、解雇条件の緩和以外はやれることを何でもやってどうして全く上を向かんのだと思ってきたが、やっぱり⑦だったのか!と納得。

上場しておきながら無能な経営者がポイズン・ピルとかホワイトナイトとかバカやってきたし、三洋とかシャープとか東芝とか経営者がどうしようもないもんな~。


しかも、のんびりと創業者一族やサラリーマン社長が経営している会社が買収されそうになると、買う側は高く売ることを目的にするわけだからそういう意味では企業価値を上げざるを得ないのにも関わらず、世論までも買収する側を情緒的にとことん悪く言うのだからどうしようもないわけですわな。

トランプ氏が他国にアメリカへの投資を呼びかけているのとは大違いだし、イギリス経済が外国からの投資で伸び続けてきたのとも大違いである。


日本企業は少子高齢化による国内市場の縮小に備えて、内部留保を溜めに溜めて海外企業を買収しまくっているのだから日本企業の自己矛盾とご都合主義には心底驚いてしまう。

 

このようにこの本の分析は実に的を射ているのだが、ちょっと残念なことに最終章に載っている氏の考える処方箋が荒い荒い。

まあ1章から8章を分析と批判に使って、提言は9章のみなので荒くもなりますわな。

でも、年金基金等を使って経営者に時価総額の上昇圧力をかけ続けろという提言だけは秀逸だと思った。

 

結局、東京高裁判決で正社員の解雇が事実上無理になっていることが日本経済低迷の最大の問題と、前からわかりきっている結論になってしまうようにも思う。

 

でも、外国人にここまで終始けちょんけちょんに言われると「じゃあ母国に帰れば?」と言いたくもなるけど、それを言っては下衆ということなのでしょうな。


氏が先に書いた「新・観光立国論」のほうも後で読んだのだが、こちらも現状分析のほうは立派。

でも、やっぱり提言のほうはちょっとな~と思うものが多かった。

とはいえ、分析だけでも読む価値は十分にあると思った。

 

なお、氏がそうなのか、頭の良いアングロ・サクソン人全体がそうなのかはわからないが、日本人とは一線を画した徹底的した資本主義的な思考は新鮮だった。