全体の感想
このコーナーは惰性で続いているようなコーナーで、サラリーマンに復帰して2年以上経ち、また、キックの生の試合も観に行かなくなって久しいのでそろそろかなとも思うのだが、一度始めたことをいつまでも細~く継続させてしまうというのは私の特徴でございまして、そんなわけでこうして続いております。
さて、今回は各選手について思ったことをコメントしときます。
HAYATO選手は昨年に日菜太選手に負けて以来の再起戦となったが、また負けてしまった。
努力しても実るとは限らない世界だが、最後のチャンスと思ってやるだけのことをやって、ここまで完璧にやられてしまったのだからさぞかし辛いであろう。
進退を含め今後どうするか気になってしまう。
TATSUJI選手は、パンチのガードを徹底的に固めて左ミドル&右ローと左フックのカウンターで勝負してきた山本選手の作戦に対して有効な手を打てず、山本選手が切り出した2Rのバックブローと最終Rのハイキックで見た目にわかるダメージを負ったのが印象を悪くした。
TATSUJI選手はもう長いことこの世界でやっているのだから、蹴り、せめて左ミドルや右ローが出ないのであれば、前蹴りとインローだけでも散らすべきであったように思う。
ダウンはジャブに対してバランスを崩したかたちでのダウンだったが、どちらにしても延長Rは山本選手が有利だったので結果は致し方ないであろう。
TATSUJI選手も努力が実るとは限らないことを実感して辛いだろうが、キックや重心の取り方などに伸びしろはあるように思うので、強いモチベーションが残っているのであればがんばって欲しいものだ。
日菜太選手は自分の中では本命であったが、実際にそれに見合った働きをした。
1R開始2分あたりに蹴った左ミドルで城戸選手の腕を破壊したように見えた。
オーソドックス対サウスポーの試合ではオーソドックスの右ミドル対サウスポーの左ミドルおよびお互いのストレートパンチが非常に重要となるが、基本的にはオーソドックスとやりなれているサウスポーが圧倒的に有利である。
例に漏れずこの試合もそうなったが、圧巻だったのは日菜太選手が城戸選手の右ミドルをほとんどすべてキャッチしたことである。
これによって城戸選手は作戦であったであろう右ミドルを蹴れなくなり、もう一つの突破口である右ストレートも左ミドルで右腕を殺されて出せなくなってしまい、延長Rでは公開処刑みたいになってしまった。
城戸選手は、右ミドルをつかまれたのも痛かったが、左ミドルのカットも結局は上手くいかずで、左ミドルをガンガン蹴ってくる相手への対策が甘かった気がした。
待ってカウンターを合わせようとするタイプの城戸選手には難しかったかもしれないが、日菜太選手のような左ミドルが得意でパンチが並のレベルの選手に勝つには、強引に距離をつめて強打をガンガン打ち込むか、左ミドルを前蹴りでストッピングしたり、徹底的にローでつぶしたり、距離を詰めて左ミドルの威力をかき消してヒザを用いたりするといった手が有効であろう。
日菜太選手の戦績は現時点で15勝6敗4KOで、それぞれ右フックと左フックで2度KO負けしているので打たれ強くはないとみるのだが、長島選手ならばあっけなく日菜太選手をKOしそうな気がする。
アンディ・オロゴン選手は計量に失敗した時点でプロとしてはあり得ないし、放映された3Rを見てもいいところがなかった。
ローキックを効かされるのはまだしも、小比類巻選手にパンチを食らってはまずいだろうと思った。
長島☆自演乙選手はHAYATO選手との試合開始後わずか40秒で額をカットしたのが運の尽きだった。
山本選手に対しても優勢に試合を進めていて、ダウンもパンチが当たっていないままラリアットをもらってスリップしたように見えた。
長島選手の長所は、思いきりの良さと、出入りの速さと、当て勘の良さと、パンチそのものの威力と、打つ手に重心を移してモーションのないパンチを打つ技術であろう。
この打ち方は山本KID選手や大月晴明選手に通じる打ち方で、最下級には私のパンチの打つタイミングもその部類に入る。
彼の打撃は荒削りだし、肉を断たせて骨を絶つ戦い方をしているし、全く蹴らないので技術的にはもっともっと伸びしろがあるのだが、こういう勘に頼るタイプは技術を身につけると弱くなってしまいかねないタイプのようにも思う。
また、今回のTKO負けを除けば全勝中なのでKO負けがないわけだが、一度KO負けをして打たれ弱くなってしまうと負けが込みかねないタイプのようにも思う。
とはいえ、ホンモノであることは実証されたわけだし、先に述べた長所はものすごく貴重な長所なので今後も期待したいと思う。
城戸選手は私の3年後の元学生キック王者なので応援しているが、身体能力は高くてもこれといった決め技がなく、また、心身ともに打たれ弱い面もあり、このメンバーの中で優勝できるとは言いきれないと思っていたが、残念ながらその通りになってしまった。
1試合目に自分から攻められなかったこととや作戦の詰めが甘かったことはともかく、手負いの2試合目の負け方があまり良くなかったのは残念である。
まあ、手負いの状態で小比類巻選手に勝てるほど甘いものではないのはわかっていたが、キックでなくパンチで意識を寸断されたのは残念だ。
昨年は尾崎圭司選手とアンディ・オロゴン選手とHAYATO選手を破っての優勝だったが、今年の顔ぶれや成績を見ると去年の優勝すらどうしてもかすんで見えてしまいかねない…。
山本優弥選手は昨年は疑惑?のジャッジングでアンディ・オロゴン選手に1回戦負けをしたが、今回はがんばった。
良かったのはガードとキックと左フックであろう。
特にガードがしっかりしていたのときちんと距離を詰めたり反撃したりしていたので集中攻撃をもらわずに済んだように思う。
また、ガードがしっかりしていたから強打のTATSUJI選手からも長島選手からもダウンをもらわずに済んだのだと思う。
山本選手の欠点はやはり一発のなさということになるであろう。
TATSUJI選手からも長島選手からもダウンは取っているが、あれは両方ともスリップ気味のダウンであり、ちゃんとしたダウンではなかったと思う。
決勝で小比類巻選手のヒザに対応できずに負けてしまったが、見る者の心を打つ試合をしたと思う。
小比類巻選手は1回戦で減点1状態からのアンディ選手とぬるい試合をして、ノーダメージで勝ち上がって、2回戦で満身創痍の城戸選手相手に無傷で勝って、決勝でもこれまた手負いの山本選手に勝って優勝したわけだが、多くの人は「なんだかな~」と思ったであろう。
今まで小比類巻選手のことはなんだかんだで応援していたのだが、今回は相手選手を完全に応援している自分がいたなあ…。
昨年の秋に復活したばかりなのにユーリ・メス選手にみっともない負け方をしたこともあるし、今回の戦いぶりで復活とも言いきれないであろう。
ただ、パンチでダウンを取ったのは良い兆しだったようには思うが、世界の選手とパンチを打ち合ったらどうなるでしょうかね…。
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