GOODDAYS

  世の中の歪みをかいくぐってひたすら逆張りの人生を歩む俺の意見

K-1 WORLD MAX 2005 日本代表決定トーナメント [2005/2/23]


各試合ごとの感想

リザーブファイト ○新田明臣 VS ●ASH-RA (2RKO・右ローキック)

新田さんのズッシリと重いローキックが突き刺さりまくって、ローキックKO!
ASH-RA選手はどのほどのものかと思ったが、あの程度の選手なら新田さんはいくらでも戦っている。

通常のキックボクシングの大会に新田さんが出場するときには、HAYATO選手や小次郎選手クラスを差し置いてメインイベントを張ることもあるのだが(「全日本キック」「NJKF」「J-NET」「IKUSA」などではそうだったし…)、新田さんほどにネームバリューのある選手がリザーバーというのはどうも納得がいかなかったが、後で「まさかあのような展開になろうとは…」と思った。

とはいえ、K-1しか見ない立ち技格闘技ファンの目に「新田選手=リザーバーレベル」というレッテルが張られるのがどうも我慢ならない。

なお、比較的コアなファンが多い会場における新田さんへの声援は、武田選手や小比類巻選手へのそれにに見劣りしなかったと思う。

 

1回戦 ○小比類巻貴之 VS ●安廣一哉 (延長判定2-1)

疑惑の一戦。

延長Rの小比類巻選手の判定勝ちはやりすぎであった。

小比類巻選手の勝利が伝わった瞬間に、会場内ではすさまじいまでの大ブーイングが起きた。

しかし、あの延長Rの攻防を良く見ると、確かに、安廣選手のストレートは数発クリーンヒットしたが、意外に安廣選手の攻撃は紙一重であたっていなかった(ビデオのスロー再生でも確認済み)。

直近で見ていたジャッジと双眼鏡で超ドアップで見ていた私はそれを見逃さなかったのだろうが、一般の観客には攻撃があたっているように見えて、安廣選手が断然有利なように解釈されたのだろう。

それでも、延長Rはドローか安廣優勢というのが妥当なところである。

しかし、始めの3Rは明らかに小比類巻選手の勝ちだったので、延長戦にしたこと自体が私にとっては疑問ではあった。

それにしても、安廣選手は恐るべき「好漢」だ。

以下のインタビューをご覧いただきたい。

聞き手:「(判定への不満で)会場がすごいことになってましたが…」
安廣選手:「ボクも小比類巻選手も精一杯やったんで、しょうがないです。はい」
聞き手:「もう吹っ切れてる?」
安廣選手:「はい」
聞き手:「ジャッジについては?」
安廣選手:「どこを取ったらボクが負けたのかという基準が分からない。ボクも新人戦とかで審判やったことあるんですけど、副審や主審に立ってみるとまた違った見え方になる。離れてみてると分かりやすいんですけど。ただ、そこは人間、しょうがない。結果もしょうがないんじゃないかなと」
聞き手:「判定に関しては?」
安廣:「いや、ボクも小比類巻選手も関係ないんで、ハイ。選手は悪くないッス。逆に何かあると小比類巻選手がかわいそう。選手がかわいそう」

 モノホンの武士(もののふ)ですな…。

 

1回戦 ●TOMO VS ○小次郎 (判定0-3)

TOMO選手はやっぱり減量に失敗していた模様。

テレビに放映された3Rは明らかに失速していた。

しかし、試合を通じて小次郎選手のパンチはほとんどクリーンヒットしていない。

TOMO選手はかわすか、ガードするかできちんと捌いていた。

パンチに関しては、手数は少ないものの、TOMOの攻撃のほうがむしろあたっていた。

しかし、ローキックを着実にあてていたのは小次郎選手で、攻撃があたるあたらないに関わらず、攻めの姿勢をアピールして試合を作っていたのは小次郎選手だった。

いくら減量苦によるスタミナの消耗が著しいといえども、TOMO選手は自分から積極的に攻めないのだから、あたってはいないものの攻める姿勢を崩さなかった小次郎選手の勝ちになっても文句は言えないところだろう。

でも、やっぱり減量に失敗していたのはかわいそうだった。

187センチメートルで70㎏はいくらなんでもキツすぎだよ…。
 

1回戦 ○武田幸三 VS ●宮田和幸 (3RKO・右ローキック)

勇気を持って参戦した宮田選手は偉かったが、1Rのゴングが鳴った直後に、武田選手に対峙した宮田選手の左足の角度が内側を向いているのを見た瞬間、武田選手がローキックを1発も出さないうちから、私の中でこの試合は終了した。

キックボクシングをやる上で、ボクシングのように前足を内側に向けるのはキックのカットができない&ローキックがモロに効くという理由でご法度なうえ、ローキックの強い武田選手にそれをやるのはまさしく自殺行為に等しい。

いくら高い身体能力と強いパンチを持っていてトリッキーに戦おうと、このようにキックボクシングの基本ができていなかったのは痛すぎた。

結果は、当然のごとく、一方的な展開で武田選手のローキックによるKO勝ち。

また、武田選手はパンチをほとんど出さなかったが、試合前から右肩を脱臼していたというウワサをインターネットで目撃した。

また、余談だが、宮田選手のパンツの左下に縫いつけてあった赤・黄・青の三色旗マークの存在がちと気になった。

 

1回戦 ●HAYATO VS ○村濱武洋 (3RKO・左ハイキック)

キックボクシング(K-1)・シュートボクシング(キックボクシング+投げ技+立ち関節技)・総合格闘技(過去にホイラーグレイシーと引き分けたことあり)・プロレスと4足のわらじ(厳密には、シュートボクシングは今はしていないが…)を履き(しかも柔道2段のおまけつき)、しかも圧倒的な体格差(村濱はK-1フェザー級[57㎏級]王者)を承知で試合をする天才格闘家村濱選手といえども、かなりのペースで試合をして充実した日々をすごしているHAYATO選手が相手ではキツイだろうし、また、体格的に圧倒的に勝っていて、しかもキックボクシング一本でやっているHAYATO選手としては負けることが許されないであろう一戦。

1RにHAYATO選手得意の右ストレートが村濱選手を打ち抜きダウンを取って、その後もややHAYATO選手有利な展開のまま3Rに突入していたが、3Rに逆転の左ハイキックが決まり見事に村濱選手のKO勝ち。

油断したためとはいえ、HAYATO選手にとってはこの上なく手痛い敗戦となった。

しかもKO負けは初めてじゃなかったっけ…。

  

スーパーファイトファリッド・ヴィヨム VS ●輝浪 (延長判定3-0)

興味ないだろうから手短に…。

1R輝浪選手が実力者のヴィヨム選手からハイキックでダウンを取る波乱が起きた。

その後は地力に勝るヴィヨム選手が徐々に挽回し、延長判定で勝利をおさめるが、試合内容はものすごく良かった。

また、怪我で欠場になったジャダンバ・ナラントンガラグ選手の代替出場で1週間しか準備期間がなかったのにこれだけの試合をした輝浪選手の善戦ぶりにはビックリした。

輝浪選手は元ウェルター級の選手だからもう少しのビルドアップが必要であろう…。

 

準決勝 ○小比類巻貴之 VS ●小次郎 (2RKO・右ストレート)

キックボクシングファンとしては結構垂涎のカード。

試合開始からずっと互角のペースだったが、2Rに小比類巻選手がパンチで2回ダウンをとって勝った…。

「コヒがパンチで…?」、あり得ないような話だが事実である…。

しかも、2度目のダウンを取った右ストレートはあたっていなかったように感じたが、アゴ先をかすめたのだろう。

 

準決勝 ○新田明臣 VS ●村濱武洋 (判定0-3) 

新田選手はリザーバーからの参戦。

やる前から「いける!」と思わせる組み合わせであった。

村濱選手より数段上のパンチャーであろう全日本キックの清水貴彦選手とあれほどスパーリングをやっている新田さんが村濱選手に負ける要素なんてほとんど思いあたらなかったからである。

実際、ほとんど何もさせずに勝ったのではないだろうか…。

しかし、気になったのはこの試合の途中までは、新田選手が基本的にサウスポーに構えていたことである。

新田選手は基本的にはオーソドックスなのだが、自分の左ミドルをあてたいとき、相手の左ハイキックに用心しているときにはサウスポースタイルに構える。

しかし、実際に相手に対して最も効果的だった攻撃は右ローキックだったのは見れば明らかなわけで、右ローキックを蹴るのであればオーソドックスに構えるのが筋であったはずである。

しかし、右ローキックが効果的なことは見るからに明らかなのに、1・2Rはずっとサウスポーに構えて左ミドルキックを中心に蹴っていた。

これはまだ本人に聞いていないので本当のところはわからないが、リザーブファイトですっとローキックを蹴ったために既に右のスネを痛めていたのではなかっただろうか…。

しかし、3Rになったら、そんなことを言っていられなくなったのか、ローキックが火を吹き、村濱選手からダウンを奪って勝利を確実なものとした。

スピードはないけどズッシリとヤバいぐらいに重く(食らった本人が書いてるんだから間違いない!)、ミドルとローの軌道がほとんど同じなものだからどっちが来るか直前までわからないうえ、1発の蹴りに最低1発以上のフェイントというか伏線というかズラシというかそういったものがこもったあの蹴りの怖さはもらった者にしかわからないであろうし、もらった者でないと何故もらってしまうかについての理由がわかるまい…。

余談だが、脂肪が限りなくゼロに近い新田選手と村濱選手とては、除脂肪体重の差がすごかったんじゃないかな?と思う。

…後で聞いたら、どこも痛めていなかったそうで、サウスポーに構えたのは作戦だったとのことでした。

むしろ、小比類巻戦前は絶好調だったそうです。

 

スーパーファイト宇野薫 VS ●セルカン・イルマッツ (1RKO・腕ひしぎ十字固め)

総合特別ルール。

イルマッツ選手の総合ルールへの準備期間はわずか1週間だったらしいが、宇野選手ほどの選手がこんな試合に勝ってうれしいのだろか…。
 

スーパーファイトブアカーオ・ポー・プラムック VS ○アルバート・クラウス (延長判定0-3)

どうして毎回のことながらクラウス選手ってひいきされるのだろう。

この試合について私が思うことといえば、「ダウンがあろうとなかろうと最初の3Rでブアカーオが圧勝してたろ」ってことだけである。

確かに、今回のクラウス選手はモチベーションが高かったのかかなり調子が良さそうではあった。

しかし、ダウンシーン以外ではサムゴー・ギャットモンテープVS小林聡戦の一戦を思わせる歴然とした差があったと思ったのだが、そうはジャッジされなかったようだ…。

しかもダウンシーンはブアカーオ選手が蹴りを空振りした時にクラウス選手が横から殴ってそれで起きたもので、ハッキリ言って事故のようなものである。

しかもあれはフラッシュダウンだった。

ただ、ブアカーオ選手は途中で左足を痛めてしまったらしく、延長Rでは多少の精彩を欠いた。

しかも、「首相撲からのヒザ蹴りは1度まで」という新ルールはブアカーオ選手をどこまでも苦しめた。

組めないからすぐクリンチになってしまうのだ…。

これはおそらく、誰もが何となく予感しているであろう「首相撲があったらタイ人の独壇場になる」という危惧から生まれたルールに違いないだろう。

あと、ジャブと右フックを有効に使えばブアカーオの顔にパンチをあてることができるということをちょっとだけクラウスが証明したような気がする…。

 

決勝 ○小比類巻貴之 VS ●新田明臣 (1RKO・右前蹴り)

次章に記載。

 

新田さんと小比類巻選手の試合の感想とバックストーリー

小比類巻VS新田さんという試合はキックボクシングファンとしては極上のカードである。

新田選手の入場のほうが小比類巻選手の入場より数倍カッコ良かったのに放映されず不満…。
「サンバ・ディ・ジャネイロ!」って感じで…。

テレビを良く見ていた方なら理解できたと思うが、実は、この2人は友人同士である。
また、一緒に練習をして切磋琢磨したことのある仲でもある。

7年前にヒザ蹴りによる3RTKO勝ちで魔裟斗選手に初黒星をつけたのが小比類巻選手であれば、同じ年に、それまでデヴュー以来5連続KO勝ちをおさめ破竹の勢いだった小比類巻選手に4RKO勝ちで初黒星をつけたのが新田選手であった。

この2人の親交はこのときから始まり、今に至っている。

そして、3年前に行われた第1回K-1 JAPAN MAXトーナメント(この時はこの呼び方だった…)において、優勝した魔裟斗選手と準優勝をした小比類巻選手は陽のあたる舞台へと道を開き、大野崇選手に1RハイキックKO負けした新田選手はこのときに砕けたアゴのケガのせいなどもあり、長い長い復帰への道を探ることとなった。

そして、最近の連勝によって、再びK-1の舞台で暴れまわることが許された新田選手がとうとう決勝まで勝ち上がり、7年の時を経て再び拳を交えることとなった。

…そんなバックストーリーを持っての決勝となった。

バウト・レビューにおいて、以下のような表現がなされていたが、このようなリングインだった…。

決勝のリングに向かう花道を歩く小比類巻貴之はどこか感慨深い表情を浮かべ、先にリングインしていた新田明臣をしばらくじっと見つめていた。

その表情はこの日の一回戦・安廣一哉戦の試合前に見せていた硬い表情とはまるっきり別物だった。

それには先のような理由があったのだ…。

しかし、勝負は一瞬だった。

1R開始からわずか20秒後に小比類巻選手の放った前蹴りがスコーンとアゴに入り、新田選手は大の字になって倒れ、立ち上がれず、10カウントを聞いた(この番組の瞬間最高視聴率の18.9%は決勝戦で記録した…)。

前蹴りでのKOシーンなんてムエタイ以外では見たことがなかっただけに衝撃的だった。

っていうか超ショックで唖然としてしまった。

新田選手がパンチを打ちにいった際に小比類巻選手が繰り出した前蹴りがもろにアゴに入ったようであるが、小比類巻選手のあの前蹴りは特に意識して放った大技ではないらしい。

新田さんは典型的なスロースターターだし、タイミングが悪かったんだな…。

それにしても、しかし、飛びヒザといい、この前蹴りといい、小比類巻選手というのは時に劇的なKO勝ちをするが、本当にファンタジスタだ…。

また、もしかするとあの前蹴りは黒崎道場にいた頃にコンクリート壁に向かって来る日も来る日も蹴っていたあの前蹴りが結実したものだったのかもしれない…。

ところで、この試合の持つ本当の意味は、試合後に小比類巻選手が残した以下のコメントにあったのではないだろうか…。

新田さんとの決勝戦は、新田さんがプロ6戦目で初めて黒星を喫した相手なので、特別な気持ちはありました。

その後、友人としてメシに行ったりもしていていい仲だった。

決勝で戦えてうれしかった。

昨日の直前会見の後に新田さんが僕の所へ来て「コヒがどん底に落ちて、今は優勝候補と言われている、それを見てきたから俺は現役を続けて来れた」と言ってくれた。

6戦目で負けたときも「まだまだいろんなことがある。落ち込むな」と声をかけられたし、(新田さんは自分にとって)兄貴分的なところがある。

(今日勝ったのは、新田さんへの)恩返しだと思う。

そして、試合後のリング場で新田選手が小比類巻選手にかけた言葉は「気持ちよくKOされたよ…。決勝、コヒとやれてよかったよ。優勝したんだから今日は笑えよ」というものだったらしい(小比類巻選手談)。

泣かせる話ではないか…。
2人とも良くやったぞ~。

それに、なんだかんだ言ったところで、世界に通用する日本人選手は魔裟斗選手と小比類巻選手しかいないのだから(私の意見だが…)、妥当な結果だったとも思うし…。

…で、表彰式はというと、終始新田さんが笑顔だったことが私としては印象に残ったが、リングに上がった小比類巻のお母さんが場馴れした様子で選手達に声をかけていっている様子もまた印象的だった…。

さて、表彰式終了後、安い席から退場ゲートの方へ駆け寄り、新田さんに「すっごい、カッコ良かったですよ!」と言葉をかけたら、わざわざ戻ってきてくれて私に向けてガッツポーズをしてくれたのだが、他のファンが一気にうらやましそうに私のほうを見たのでかなり照れた&誇らしげだった。

もちろん、新田さんは優勝できなくて悔しかったであろう。

しかし、ド派手に負けたからかどうかはわからないが、新田さんの顔にはこれ以上ない晴れやかな笑みをうかがうことができた。

まあ、いつもあんな感じな人なんだけどね…。

感想は後日にでもご本人に聞いてみようかと思う…。

…で、私が須藤元気選手とスパーリングしたことがあるという事実は、これまでも格好の自慢のネタとしていたが、これからは新田さんのジムに通っていて、新田さんと何度もスパーリングをしたことがあるというのも格好の自慢のネタとなるわい!

  

【追記】
新田さんは試合の後、普通に自分の車を運転して家に帰ったそうな…(あぶね~)。

しかもMAXからわずか2日後の2月25日にDDTプロレスゴージャス松野とかがいる団体らしい)の試合に参戦するそうな…。

 

バンコク・エラワンの祠