所得税や消費税などの租税負担率だけなら日本はアメリカよりも低く、先進国の中でも最も低い水準にある。
租税の他にも社会保障負担という実質的な税金もあるが、それでも国民負担率は37%程度に抑えられており、これもまた先進国の中では低水準である。
しかし、それは国債発行によって低いレベルに抑えられているだけで、実質的には50%時代は目前であろうことは容易に想像できてしまうとはいうものの、これだけ国民負担率が低いのにこのように経済が弱いのだから参ってしまう。
だが、それは将来に補填しなければならないと言う意味で発生するであろう「隠れ国民負担」と、現在の社会において既に発生している高コスト体質などの「隠れ国民負担」とが多いことと無関係ではあるまい。
僕がサラリーマンをしていた頃に所得税や住民税より厚生年金や医療保険料のほうが余程多く徴収されていたように、安月給のサラリーマンには租税負担より隠れ税金ともいえる社会保障負担のほうを重く感じるのだが、そうなのにもかかわらず、国家の財政だけでなく、年金保険や健康保険の財政もかなり酷い状況にあるのは論を待つまでもない。
そのため、「国家財政だけでなく社会保障制度も行き詰まるのでないか」と、将来に発生するであろう隠れ国民負担に多くの国民は戦々恐々としている。
また、当然ながら、最大の隠れ国民負担はこのような社会保障負担と赤字国債・建設国債であることは言うまでも無いものの、その他にも、日本ならではの隠れ国民負担の額は意外に多いように感じるので、以下に例を挙げてみたい。
最近、本ページで「集金員の存在が無駄なコストだからその存在を税金で賄え」と僕が指摘するNHK受信料は、テレビがある世帯・事業所から徴収するのだから、ある意味において税金のようなものである。
また、日本のバカ高い各種サービスも「受益者負担」という体の良い言葉によって議論になっていないが、その高コスト体質は実質的な国民負担といえるであろう。
日本のバカ高い公共料金・郵便配達料金もある意味において隠れた国民負担だといえる。
元国鉄であるJRや公営地下鉄は私鉄よりあきらかに料金が高いが、JR以外は税金を支払っていないくせにそうなのだから、これも犯罪的である。
また、国の財政が厳しいのでこのような隠れ国民負担を作って見せかけの税金を少なくしようという意図が読み取れるが、いっそのこと税金を投入したほうが良いと思われる場合もある。
高速道路が良い例である。
外国では高速通行料金がタダの国がほとんどなのだが、日本は受益者負担になっている。
受益者負担になってると言えば聞こえが良いが、その結果がバカ高い通行料金と田舎の少ない交通量につながっていると思うと怒りがこみ上げてくる。
高速道路料金が高いという理由で、誰も走らない高速道路を尻目に数多くの長距離トラックが一般道を走っているのを見るとその経済的損失に頭が痛くなる。
田舎のガラガラの高速道路など無料で通してしかるべきなのだ。
大体、僕とて、首都圏で一般道を走っていたら何時間かかるかわからない場合や山道をショートカットしようと思わない限りは高速道路など高くて使おうと思わない。
高い料金のために恐ろしく交通量の少ない道路があるのは、本四橋・アクアライン・地方高速道など、どう見ても本末転倒なので、こういう道路に関しては民主党が提唱するように税金を負担してタダにしてしまったほうが社会的な経済損失を大きくカットできると思う。
無駄な道路でも作ってしまったものはしょうがないので、作った以上はできる限り有効に使い、これ以上は無駄な道路を作らないようにすることが本質的に求められることなのである。