GOODDAYS 東京仙人生活

ひっそりと静かに生きる47歳仙人のつぶやき

西ヨーロッパ旅行記③ イタリア・バチカン

 

イタリア

ミラノ 1日間

ベルンからミラノへは列車で3時間かかる。

列車で出会った新婚の夫婦とずっと話しながらミラノへ着いた。

ミラノ駅ではフュッセンで一緒の部屋に泊まったNさんに再び出会い驚いた。

 

ミラノに着いてからさっさと宿を決めて、街中へ飛び出した。

有名ブランド本店が並ぶ通りを歩いたのだが、「グッチといい、プラダといい、フェンディといい、何てこじんまりとしているのだろう…」と拍子抜けする。

有名なスカラ座にも同様の感想を抱いた。

 

ところが、その近辺にあるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世ガレリアというアーケードは重厚かつ絢爛で、イタリアを強く思わせた。

そして、そこを抜けてミラノ大聖堂(ドゥオモ)に行った。

 

今までものすごく多くの建築を見てきているので大抵のことでは驚かなくなっているのだが、ここは全く次元が別

まさしくゴシック建築の極致!

135本の尖塔と2,245体もの彫像が飾られており、建築には500年もの時(1386年~1887年)をかけて完成した教会である。


 
上:アルプスの景色 
下:巨大なミラノ中央駅

   

 
上:ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世ガレリア
下:ドゥオモ前広場

 

死ぬまでに一度は見ておきたいミラノ大聖堂


ただただ単純に「何故、ここまでの労力をかけてこの教会を作る必要があったのか」という疑問を強く抱いてしまうほどおそろしく多くの労力がこの教会にはかけられていた。

ところで、彫像の顔を良く見ると、豚のような人やハゲタカとかがあってすごくおもしろかった。

死ぬまでに一度は必ず現物を見ておくことを万人にオススメしたい。

ミラノは大聖堂以外には大したものはなかったが、大聖堂だけでも観に行く価値がありすぎるので是非とも観に行っていただきたいと思う。


 
信じられないほど細かい尖塔が信じられないほどの数だけ立っている…


それと、何故かイタリアも物価が高い…。

ヨーロッパに来て、蚊が出ていなかったことに感謝していたのだが、ミラノにてとうとう出会ってしまう。

しかも、イタリアはハエと蚊が多く、特にハエがうるさいようだ…。

夜も暑くて何度も寝ている途中に目が覚めてしまう始末。

 

ヴェローナ 数時間

ミラノへ向かう列車で居合わせた新婚の夫婦の旦那さんが「ヴェローナはいい」と言うから、予定を変更してヴェローナへ立ち寄ることとした。

ミラノから2時間でヴェローナに到着。

コロッセウムと古い街並みがあって確かにすばらしかったのだが、何故かこの日は元気が出なかったので早々に切り上げてヴェネツィアへ向かった。

 


ヴェローナ


ヴェネツィア 2日間

1時間20分の間、爆睡してヴェネツィアへ。

YHにチェックインするまでに何だかんだで手間取って時間をロスしてしまった。

子供の頃から憧れ続けたヴェネツィアへとうとう来てしまった。

街のへそ的な存在であるサンマルコ広場に来たが、美しいことで有名な広場が鳩の糞でかなり汚されていてちょっと残念であった。

しかし、近くの鐘楼からの景色は圧巻としか言いようがないほどすばらしかった。

 

 
上:ヴェネツィアの眺め
下:鳩だらけのサンマルコ広場

 

散策するにつれ、船に乗って街を眺めるにつれ、「ヴェネツィアの美しさは誰が何と言おうと世界一だ。ここは世界で一番美しい都市に違いない!」と心の底から思った。

時が遅くなってきたのでYHに戻り、海の向こうに見えるヴェネツィアの全景と夕陽を眺めていたら、ロン毛ヒゲ面で濃い目のイケメンで横浜国大生のSくんが話しかけて来たので、ずっと彼と語りながら沈みゆく夕陽を眺めた。

ここで沈む夕陽を見ながら、あまりの美しさに図らずも涙してしまった。

もちろん、海の方を眺めながら誰にも知られないようにである。

こんなことは後にも先にも記憶にない…。

夕焼け空と夕陽に照らされる世界で一番美しい街は、私にとって衝撃的なまでに美しかったのだ…。

 

 
ヴェネツィアに沈みゆく夕陽

 

そして、その後も百万ドルとまでは行かないまでも、百万リラぐらいの夜景を見ながらSくんと話し込んだ。

彼とはものすごく意気投合した。

翌日はこの上なく天気が良すぎるので、国際的リゾートのリド島へ行った。

貝殻だらけのビーチで座り込んだり海に浸かったりしていたら、段々とそしてあまりに雲行きが怪しくなってきたので、直感で「ヤバい」と思って急いでビーチを引き揚げたら、しばらくして、サイコロぐらいの大きさの雹が信じられないぐらいの勢いで爆発的に降り注いできた。

間一髪で直撃せずに済んだのだが、あまりの変容とあまりのすさまじい光景にSくんとただただ爆笑した。

後で知ったのだが、ちょうどこの時にリド島でヴェエツィア映画祭が開催されていたようで、北野武監督が「HANA-BI」で金獅子賞を受賞したのはこの日の数日後のことであった…。

 

 
上:リド島にふりそそぐ雹
下:ヴェネツィアの路地にて…


天気は激変して嘘のように晴れあがった。

Sくんとしばし別れ、一人でヴェネツィアを散策することとした。

ヴェネツィアの大動脈である大運河をクルーズしていたら、日本語を話せるニュージーランド人が話しかけて来たので彼と話しながらクルーズを心行くまで楽しんだ。

このクルーズによりものすごく贅沢な気持ちに浸ることができた。

 

青く晴れ上がった空とヴェネツィアの街は良く似合う

 

ヴェネツィアの路地のラビリンスを無目的にブラブラと歩き続けた。

建物は古く、決してキレイではないのだが、どこもかしこもあまりに趣があって、静かで美しかった。

車が一台もなく、水が静かに波打つ音だけが響くのみである。

みやげ物屋や観光客がおらず人気のない路地にどんどんと入り込んで、路地で昼寝をする猫たちを尻目にこの上なく贅沢な時を過ごした。

ここまで美しいとヴェネツィアが奇跡の街に思えてくる。

夜はSくんと慶応大総合政策学部の4年生と語りつつ過ごした。

 

 
昼下がりの路地散策も楽しい

 

フィレンツェ 1日間

ヴェネツィアを後にするのはものすごく名残惜しかったが、次に行かねばなるまい。

列車に揺られること3時間弱でフィレンツェへ。

到着後、宿を探すが苦戦したのでドミトリーは嫌だったがまたYHへ。

まずは、街を一望できるミケランジェロ広場へ。

ここからの景色がいつも写真で見るフィレンツェの景色であった。

街を歩くより上から見下ろしたほうがより美しい街である。

 

メディチ家の栄華が漂うフィレンツェの街

 

次は有名なウフィツィ美術館へ。

ここにはボッティチェリプリマベーラヴィーナスの誕生、受胎告知といった世界史的な名作が展示されている。

受胎告知が題名の作品は数多く展示されているが有名なのはシモーネ・マルティーニの作品である。

「暗黒の中世のヨーロッパの人はこんなドアホなことをまことしやかに語っていたのだろうなぁ…」「旦那のいない女性が身ごもった子供は婚前性交渉の結果というのが常識と決まっとるわい!」とこの浮世絵のような絵を見ながら他愛もないことを思う。

まあ、ビートルズの「LET IT BE」が大好きな私がそれを笑っちゃいかんな…。

なお、「LET IT BE」とは聖母マリアが受胎告知をした天使に答えた言葉である。

その後、花のサンタマリア大聖堂(ドゥオモ)に行こうとすると、後ろから3人の女の子が話しかけてきた。

中学生ぐらいの女の子たちで、間違いなく地元の子だと思われるが、それぞれがフランス・スイス・イタリア出身なのだという。

フランス出身の子は巨乳なのにブラをしていないというツワモノ、スイス出身の子はとてもかわいいのだが鼻ピアス、イタリア出身人の子は青く澄んだ目がすごく印象的な子であった。

街中に4人で座り込んで話をしたのだが、皆、パンクが大好きな少女たちだった。

フランス人の子は4ヵ国語を話せるらしいが、英語すらまともに扱えない自分を強く恥じ入ってしまった。

かなり長い時間話し込んだので、大聖堂に入れなかったのだが、それ以上に有意義な時を過ごすことができた。

 

 
花のサンタマリア大聖堂からフィレンツェの街を望む

 

ダビデ像で有名なアカデミア美術館へも時間がなくて入れなかったが、ダビデ像のレプリカは数ヵ所で見られたし、ダビデ像にあまり興味ないし、街を散策するほうが好きなのでまあ良しとした。

フィレンツェは革製品で有名な街だ。

ヴェッキオ橋にほど近い店で15,000円をはたいて皮のパンツを購入した。

もちろん、ずいぶんと値切った。

YHでは信州大の人とコックの人とすごく熱い議論を交わして楽しい夜を過ごした。

 


プッチーニの「私のお父さん」の歌で有名なヴェッキオ橋

 

ローマ 3日間

フィレンツェから列車に揺られること2時間弱でローマへ。

ローマ駅のことを別名「テルミニ駅」というが、これは「終着駅」というような意味を持つ言葉である。

当然ながら、昔に観た映画、「終着駅」の暗い曲が頭に流れる。

駅で「いい宿を紹介してやる」というおっさんがいて、疑いながらとりあえず紹介してもらったが、本当に良い宿を紹介してくれた。

男女同室のドミトリーというすばらしい部屋だった。

初日は日曜日で見どころや店が閉まっているので、ローマ市を把握すべく市内を散策することにした。

 

 
タイプライターの異名をとるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂

 

トレヴィの泉では恥を省みず、後ろ向きにコインを投げた。

 

 
上:「ローマの休日」でも有名なトレヴィの泉
下:こちらも「ローマの休日」でアン女王がジェラートを食べていたスペイン階段

 

直後に、スペイン階段に座っている女の子たちのスカートの中が意図せずに見えまくってしまい、早速、ご利益に預かった。

夜はナヴォナ広場には大道芸人や絵描きがたくさんいて楽しかった。

絵描きの描く絵が異様に上手くてずっとその様子を眺めていた。

すごく楽しい夜を過ごした。

 

 
上:絵描きが描く絵はやたらと上手い
下:サンタンジェロ城

 

ノッポの国やデブの国には行ったが、イタリアはハゲの国だ。

ハゲている人が異様に多い。

また、予想を裏切らない男の情熱ぶりにも驚かされた。

街中でいちゃつくカップルがやたら目につく。

ベンチに座って女の足を舐めている男もいた。

中年夫婦なのに妻を口説いている見える夫がいたり(夫婦でないかもしれないが)、もう、ワケわからん。

まあ、カトリックなので離婚率が低いし、家庭円満はいいことだ!

2日目は考古学者になった気分で古代ローマ遺跡を探索した。

著名なカラカラ浴場、コロセウム、フォロロマーノカタコンベを1日で一気に見学したのだが、ものすごく濃いことをした気分になった。

 

 
ローマ帝国の栄華の跡であるフォロロマーノ

 

美食家だったローマ人は豪勢な食事をして満腹になったら吐いてまた食べる習慣があったらしいが、カラカラ浴場の湯栓跡を見つめながら、「古代ローマ人はこんなところでバカみたいに食って吐いて、仕事をせずに遊びまくっていたんだろうなあ」と思い、感慨にふけった。

コロセウムでは中を吹きぬける風があまりに気持ちよいので小一時間の昼寝にいそしんだが、猛獣と戦士がここで戦い、それをギャラリーが観戦するうねりを頭に思い浮かべながら昼寝をした。

 

 
ローマ時代に猛獣と人間が戦っていたコロセウム

 

夕方にサンタマリア・デラ・コンチェツィオーネ教会、簡単に言えば骸骨教会に行った。

4,000人分の僧侶の骸骨できれいに飾られた教会を見てなんとも複雑な気分に浸ってしまった…。

 

バチカン 半日間

ローマ滞在3日目はローマのサンタンジェロ城を見学した後に昔から行ってみたかったバチカン市国へ行った。

世界に10億人以上もの信者をかかえるカトリックの総本山である。

広場も寺院も想像以上にデカかった。

 

サン・ピエトロ寺院はものすごく大きいのでローマの街の遠くからでも見える

 

美術館は壁画だらけだったが、「一体、何人の人がこの建物に人生を捧げたんだ?」と思うと同時に「今の世で、これと同じものを作るのは絶対に無理だな…」とも思い、半ば呆れに似たものを感じた。

 

 
上:クーポラの中だが、その芸術性の高さにただただ圧倒される
下:上を見ながらこんなに細かい絵を描いていたら首も痛なるわい!

 

天井画は上を向きながら描いたらしく、画家は首を痛めたらしいが、もっと頭の良いやり方はなかったのかいな?と思ってしまう。

ガイド本に「世界美術史上最高傑作」と書かれるぐらいの大作である「最後の審判」のあるシスティーナ礼拝堂に行った。

それだけ有名な大作だけあって確かに圧倒された。

もっとも、衣服を書き加えられているらしいのだが…。

この大作に観入っている人は本当に多かった。

この傑作的な壁画だけでなく、バチカン寺院建築、彫像「ピエタ」などとさまざまな種類の気迫の傑作を創ったミケランジェロとは何ものぞ?と思う。

昔の人にはミケランジェロしかり、ダ・ヴィンチしかり、バッハしかり、たまに宇宙人のような才能を発揮する人がいるが、このミケランジェロの芸術的才能にかなう現代人はいるまい…。

バチカン市国は人口が1,000人しかいない世界で一番小さな国である。

しかし、サン・ピエトロ大聖堂はとんでもなくデカい。

4世紀に建立されたが、16世紀から120年間かけてラファエロミケランジェロによって大改修がなされた。

サン・ピエトロ寺院はローマの街からかなり大きく見えるが、中に入ってみてもデカイ。

そのデカさはドームの傾斜に沿ってらせん状に伸びる320段の階段を登って、クーポラに向かっているとき、クーポラから街を眺めたときにわかる。

ローマの街はおろか、真下のバチカン広場ですらはるかに小さく見える…。

 

 
クーポラの上からバチカン広場とローマの街を見下ろす

 

バチカンを出た後は、トラステヴェレを散策したり、もう1回ナヴォナ広場に行ったりするなど、市内を散策して、23時に夜行列車で次の目的地へ出発した。

ローマではミラノの新婚さんとミュンヘンの宿で一緒だった早稲田大の大学院生と再び会ったが、本当に人に会うものだ…。

まあ、皆、同じようなところを訪ねているからなのだろうが。

 

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